「木造の我が家は大丈夫? 木造住宅の耐震性をチェック!」

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もともと地震が多い日本ですが、近年では大きな地震も頻繁に起こっています。「耐震性」や「耐震基準」というワードが気になっている方も多いのではないでしょうか。

強い地震で倒壊の被害を受ける多くは「木造住宅」です。しかし、日本では昔から木造住宅に住む人が多い国です。普段は快適な住まいであっても、「地震の際に倒壊しやすい」と聞くと気になりますよね。

そこで、今回は木造住宅の気になる耐震性について、さまざまな角度から情報をお伝えしていきます。

1、木造住宅の工法は耐震性が高いの?

地震で倒壊している住宅の多くが木造住宅なので、「木造住宅」と聞くと耐震性が弱いイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし、ひとまとめに「木造」といっても、建築の方法はいろいろとあります。

日本の伝統的な木造軸組工法(在来工法)、アメリカから導入されたツーバイフォー工法(木造枠組壁式工法)などが主な工法です。

木造軸組工法(在来工法)は昔から日本の生活に馴染みがあった工法で、多くのハウスメーカーや工務店でも採用されています。柱や梁で軸となる部分ができたら「筋かい」で補強し、地震の揺れなどから建物を守ります。

また、ツーバイフォー工法(木造枠組壁式工法)はアメリカから導入された建築工法です。サイズの同じ合板の組み合せで壁を作っていき建物を支えるので耐震性は高く、大きな地震での被害が少ないという調査結果があります。

2、耐震診断で不安を解消!耐震性のチェック方法

「我が家は大丈夫なんだろうか…?」、そんな不安があるならまずはマイホームの耐震チェックを自分で簡単に行ってみましょう。

(1)チェックポイント1:住宅を建てた時期はいつですか?

同じ木造住宅であっても、建てた時期により耐震性が違います。基本的には、新しければ新しいほど、耐震性は高いものです。

比較的新しい住宅は、建築基準法の「耐震基準」が改正されてからの建築なので、地震に対しての厳しい基準をクリアして建てられているためです。

①耐震基準って何?「旧」と「新」が安心の分かれ目?

建築基準法では、地震に対しての耐震基準を定めています。耐震基準は1981年6月に今現在の新耐震基準に改正され、内容がより厳しくなり、さらなる安全を重視するようになりました。

1981年よりも前の旧耐震基準は、「震度5程度の中程度の地震で倒壊しないこと」というものでした。しかし、新耐震基準では「震度5程度の中程度の地震で軽微なひび割れ程度にとどめること」「震度6強以上の強い地震では倒壊しないこと」というものに変わりました。

つまり新耐震基準では、建物の被害を軽く留め、暮らしている人の命を守ろうということが強く考えられるようになったのです。実際に、大きな地震の際には、旧耐震基準で建てられた木造住宅が多く被害を受けたのに対し、新耐震基準以降の建物は被害が少なかった報告もあります。

旧耐震基準の頃だから危険、新耐震基準だから安全とは一概に言えませんが、一つの目安として考えることができます。

(2)チェックポイント2:住宅の基礎はどうなっていますか?

大きな地震では築年数がかなり経過しているような木造住宅の被害が多い傾向にあります。実は、基礎が原因であることも多いです。

そもそも基礎とは、住宅の土台となり建物を支えるかなり重要な部分です。しかし、昔の基礎は今とは違っていて、地震時にネックとなるものであることが多いのです。

①基礎の種類とは?

一般住宅で主に採用されている基礎は、ベタ基礎と布基礎です。

近年の木造住宅の多くは「ベタ基礎」です。ベタ基礎は、縦方向に鉄筋を入れたコンクリート、横方向には基礎部分の床一面にコンクリートを流し込みます。基礎全体が「面」となり、建物の重さを受けることができて安定します。

また、布基礎は1階の壁下にあたる部分だけが鉄筋コンクリートで基礎となります。ベタ基礎と違って、コンクリートを流し込まないので「土」がそのまま見える状態です。ただ、地面からの湿気を防止するためにコンクリートを敷くこともあります。布基礎は築年数が古い住宅で一般的に採用されていました。建築時期が2000年以降なら、ほぼベタ基礎です。

耐震性が高いのは、基礎部分が一面となり建物の荷重を散らすことが可能な「ベタ基礎」なのです。

(3)チェックポイント3:壁はたくさんありますか?

住宅に壁がたくさんある家は耐震性が高いです。外壁はもちろん、内壁も多い方がいいのです。そのため、リビングがかなり広い、吹き抜けがある、1階に駐車場部分があるなどでは耐震性は弱くなる傾向にあります。

また、建物の片側には壁がたくさん配置されているのに、逆側には壁があまりないなど、バランスが悪いのもよくありません。

(4)チェックポイント4:増築はしていますか?

増改築を繰り返している、リフォームをしたなどの場合、既存の部分と新しい部分の繋ぎ目が適切に施工されていないと危険箇所となる可能性もあります。

(5)チェックポイント5:建物が劣化していませんか?

外壁や屋根などに亀裂や剥がれがある箇所を傷んだまま放置していることはありませんか。実は、その傷みから水分が侵入すると、ふだんは見えない構造が腐朽してしまうものなのです。木部が腐って柱が弱くなる、シロアリの被害が出てくるなど建物の内部にまで被害が及んでいることが多いです。

それが原因で建物の柱などにゆがみが出ると、家が傾くなどの症状が出ることもあります。扉の建付けが悪くなったなど思い当たることがあると、構造部分がかなり劣化して耐震性は低くなっていることが考えられます。腐朽により、木の強度が弱まり、地震の際に倒壊するリスクまで考えられます。

(6)チェックポイント6:家の形状が複雑ではありませんか?

耐震性が高いと言われているのは、シンプルな形です。一般的に長方形や正方形など、凸凹が少ないスッキリとしている形は地震が起きたときに全体的に揺れが分散していきます。

一方、複雑な形状の住宅は耐震性が弱くなります。例えば、建物の1階部分と2階部分の壁の位置がずれていると、地震時の力が分散しにくくなります。つまり、大きな力が集中する箇所がいくつもあるので、ゆがみやすく倒壊のリスクが大きくなるのです。

建物の片側にだけ部屋数が多い、増築を何回も繰り返してバランスが悪いなどは、耐震性は低い傾向にあるので補強が必要な可能性が大きいでしょう。

3、プロに耐震診断してもらうことも可能

自分でチェックをして一つでも項目が当てはまると「どうやら耐震性が低そうだ…」と不安になる方もいるかもしれません。そんな場合には、やはりプロの目でチェックしてもらうのがいいでしょう。ただ、依頼する場所によっても診断費用はかかります。

(1)自治体に依頼して耐震診断をしてもらう方法

各自治体で制度が異なるのですが、無料で専門家を派遣してもらえることもあります。できるだけお金をかけたくない場合には、まずは、地域の自治体に問い合わせてみるといいですね。

(2)専門家に依頼して耐震診断をしてもらう方法

資格を持ち、耐震診断を専門業務にしている専門家に依頼する方法もあります。耐震と建築の幅広い知識を持った、国家資格を持ったプロならではのしっかりした調査を行ってくれます。

(3)民間の企業に依頼して耐震診断をしてもらう方法

ハウスメーカーや工務店などでは、耐震補強工事を前提に無料で耐震診断を行ってくれることもあります。

(4)自治体からの補助金がある

耐震診断で費用がかかった場合には、各自治体から補助が出るケースが多いです。ただ、耐震診断が必要なくらい築年数が経過していることなどの条件があるので、事前に相談してみるといいでしょう。

補助金には上限がありますが、実際に耐震性が悪く不安を抱えているよりは、診断後に対策を取ってもらえるなど「安心」が得られるメリットもあります。

4、耐震補強でできることとは?

耐震診断を受けた後に、耐震性が低いことが分かるとショックですよね。でも、その場合には「補強工事」で耐震性を高めることができます。耐震診断同様、各自治体では耐震補強工事の費用の補助を行っています。

条件や上限額などについては、それぞれの自治体によって内容が異なるので、お住まいの地域の窓口に問い合わせるといいでしょう。

それでは、具体的にどんな方法で補強工事が行われるか紹介します。

(1)壁の量を増やす、補強する

地震では、建物に横向きの力が加わります。そこで、壁の量が少ないときには、厚みのある耐震壁などを新たに設置します。

また、既にある壁にも筋かいを加え強度を高めることも大事です。家全体を見たときに、壁の量と重心とのバランスがよくなるように調整していきます。

(2)基礎を補強する

築年数が古い木造住宅の場合、基礎が原因で耐震性を弱くしていることが多いです。鉄筋を入れる、コンクリートを敷くなど大きな工事となることもあります。

(3)軽い屋根にする

建物の上部に重みが集中していると地震のときに揺れが大きくなります。特に、瓦屋根などはかなり重いので地震時には不安な要素になります。一般的な軽量の屋根に変えることで、建物全体の重量が軽くなります。

(4)木材の接合部を金物で補強していく

木と木の接合部分は、地震の際に大きな力が加わります。接合部がゆがむことで建物全体が崩れる原因にもなります。接合部分が弱い場合には、金物などで強い補強をしていきます。

5、まとめ

最近の木造住宅は、新耐震基準で地震のときに被害を受けないような配慮がされています。しかし、建築時期が古いものだと耐震性が低いことが多く、大きな地震の際には倒壊するリスクも高いです。いつか起こるかもしれない地震のことを思うと不安が大きいでしょう。

自宅で耐震性をチェックしたときに、当てはまるものがあれば専門家に相談してみることが大切です。もし、耐震性が低ければ補強工事もできます。全国の自治体で耐震診断や補強工事の補助があります。不安に思っている状況が続くよりも、「命を守る」ことを考え住宅の管理を適切に行っていきたいものですね。

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