耐震診断ってなに?かかる費用と業者を選ぶポイント

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住んでいる家が古くなってきたら、地震に備えて耐震工事をしておこうかと思いますよね。そうなったら、いきなり工事をする前に、自分の家の状態がどんなものか知っておいたほうがいいでしょう。

そこでおすすめするのが耐震診断です。「名前を聞いたことはあるけど、耐震診断って具体的に何をするの?」「お金がかかるんじゃない?」と思っても大丈夫。

この記事では、耐震診断とは何か、かかる費用、業者の選び方についてお話します。耐震診断に対する知識を身に付け、より良い地震対策の参考にしてください。

1、耐震診断とは?耐震診断が必要な理由

(1)耐震診断とは

耐震診断とは、既存の建物の構造的な強度を調べ、想定される大規模な地震に対する安全性つまり耐震性や、受ける被害の程度を判断することをいいます。

現在の最新の耐震基準は、1995年1月に起こった阪神・淡路大震災の教訓から、その年の12月25日に施行された「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」に基づいています。この新耐震基準を満たしていない建築物については、耐震診断を積極的に行い、耐震補強工事や改修が勧められています。

(2)耐震診断や耐震補強工事が関心を集めている理由

最近、社会的にも地震に関する懸念や関心が高まっています。その背景には、阪神・淡路大震災、宮城県北部地震、熊本地震などが挙げられます。また、今後は東海地震、南海地震、首都圏直下型地震などの大規模な地震が起こる危険性もあり、関心が高まってきています。

一般社団法人日本防災協会によると、阪神・淡路大震災で建物の倒壊によって亡くなられた方が約88%、建物の下敷きになり地震による火災から逃げられずに亡くなった方が約10%というデータが発表されています。

つまり、地震が起きたときに耐震性が低い建物にいると、逃げ出すのは非常に難しいということになるのです。

だからこそ今、地震が起きても倒壊しないための耐震基準を満たす住宅や建物への関心が高まっているのです。

2、耐震診断の方法や内容、費用について

耐震診断といっても、自分でできるセルフチェックから専門家による有料の診断などいろいろな方法があります。また、現在お住いの戸建て住宅の老朽化が気になるという方の多くは、木造住宅であるケースがほとんどですので、ここでは、一戸建ての木造住宅についての耐震診断の方法やそれぞれの内容をご紹介します。

(1)セルフチェック!自分でできる耐震診断

<すぐにできる!耐震診断セルフチェック!>

(誰でもできる我が家の耐震診断より抜粋)

  1. 建てたのは1981年6月以降
  2. 大きな災害に見舞われたことがない
  3. 増築をしていない、または建築確認などの必要な手続きを経てから増築した
  4. 家に傷んだところは見当たらない、またはその都度補修している
  5. 建物の平面図は長方形に近い平面だ
  6. 一辺が4m以上の吹き抜けはない
  7. 2階外壁の直下に1階のうち壁または外壁がある、または平屋建てである
  8. 1階外壁の東西南北どの面にも壁がある
  9. 瓦などの比較的重い屋根葺材だが1階に壁が多い、または屋根には比較的軽い材料を使っている
  10. 基礎は鉄筋コンクリートの布基礎またはベタ基礎、杭基礎である

この10項目のうち3つ以上、満たしていない項目があれば、なるべく早めに住宅の専門家に診てもらいましょう。

また、このチェックはあくまでもセルフチェックなので、お住いの家が立地している地盤の影響についてはあまり考慮されていません。そのため、柔らかい地盤に家を建てられている場合は、地盤の調査をおこない、必要に応じて土地改良工事や、建物の基礎の補強工事をおこなうケースもありますので、専門家に相談しましょう。

<セルフチェックの費用や所要時間について>

セルフチェックでおこなう耐震診断の場合は、「誰でもできる我が家の耐震診断」を見ながらのチェックですから、時間もほとんどかかりませんし費用もかかりません。

(2)誰に頼めばいい?依頼する専門家選びと費用、所要時間について

セルフチェックだけでは、心もとないという方や、目にみえて老朽化しているので、専門家に耐震診断をしてもらいたいという場合には、専門家に耐震診断をしてもらいましょう。

専門家による耐震診断は、セルフチェックのような主観や目視だけではなく、既存の建物の構造図を元に建物の強度を診断します。そのため機材を使った現場調査も必要に応じて行いますから、ある程度の時間と費用がかかります。

<具体的な診断項目>

  • ひび割れ
  • 雨漏りによるシミ
  • 建物の傾き
  • ドアの開け閉めの不具合
  • 壁やベランダの状況
  • コンクリートの厚さ
  • 柱や梁の太さ、大きさ、長さが設計図通りか

このように外観調査や構造に関する調査を行い、それに基づき構造計算をします。その結果、耐震補強工事が必要であれば、設計、工事へと進みます。

業者を探す時、今はインターネットで色々と検索できる時代ですから、「耐震診断」と検索すれば家の耐震診断をしてくれる業者をたくさん調べることができますね。

しかし、インターネットの検索には、悪質な業者も紛れているため、注意も必要です。耐震診断耐震診断を無料にする代わりに工事を契約させる業者や、耐震性能を診断できる技術を持たない業者もいます。

そこで、住宅の耐震性をしっかり評価してもらうためにおすすめしたいのが、ホームインスペクター(住宅診断士)の資格を持つ専門家です。ホームインスペクターには大きく分けて2種類あります。

①NPO法人などが認定したホームインスペクター

ホームインスペクション(住宅診断)をおこなうホームインスペクター資格を認定する団体は現在6つあります。いずれも国土交通省が要件を満たしているとして、認めていますが、ここではそのうちの代表的な2 つの民間資格をご紹介します。

  • JSHI公認ホームインスペクター

NPO法人日本ホームインスペクターズ協会が認定する公認ホームインスペクターは、民間資格で住宅の劣化状況や欠陥の有無を目視でチェックし、改修が必要な箇所、おおよその費用などを中立的な立場でアドバイスする専門家です。

<耐震診断費用や所要時間について>

住宅の規模や調査範囲にもよりますが建物面積が100㎡(30坪)程度の住宅診断で2〜3時間、目視による一次診断で5〜6万円が相場です。

ただし、機材を使用する詳細診断になると、10万円以上の場合もあります。

参考:https://www.jshi.org/what/what03/

  • 一般社団法人住宅管理・ストック推進協会認定ホームインスペクター

一般社団法人住宅管理・ストック推進協会が認定する民間の資格です。平成25年に国土交通省によって発表された「既存住宅のインスペクション・ガイドライン」に沿って、住宅の劣化、不具合を診断していきます。

<建築士会公認のホームインスペクターによる費用や所要時間>

費用、所要時間については、物件の状況により異なりますが、およそ2〜3時間で、費用の相場は目視で行う簡単な一時診断で5万円程度とされています。雨漏りや断熱性能の調査などは、オプションでサーモグラフィーなどの機材を用いて検査する業者が多いです。

参考:http://www.onestep-fudousan.com/blog/entry-60662/

②建築士会が認定したホームインスペクター

NPO法人や一般社団法人が認定したホームインスペクターの他に、公益社団法人である建築士会が認定する建築士会インスペクターというものもあります。

こちらは、国家資格である建築士が建築士会にて講習を受け、認定試験に合格したもののみが登録できる資格です。

現状は住宅診断に必要とされる法的な制限が整備されていないため、知識や経験が不足しているホームインスペクターでも耐震診断を行なっていることがあります。しかし、やはり建物のことは建物に関する国家資格を持っている建築士に診てもらうのが一番信頼でき、安心できるという方は、建築士会が認定したホームインスペクターに耐震診断をしてもらうのがおすすめです。

反対に、ホームインスペクターの資格を持っていなくても建築士であれば、耐震診断を依頼することができますので、どこに依頼したら良いかわからないという方は、家を建てたときの建築士や、近隣で評判の良い建築士を探して見られると良いでしょう。

<耐震診断費用や所要時間について>

費用については、一級建築士が運営している一般財団法人日本耐震診断協会のホームページによると、木造住宅の場合なら、延床面積120㎡あたり、20〜50万円が相場とされています。

しかし、住宅の面積だけでなく、地域性や事務所の方針によっても価格の差はあります。例えば、ある建築士事務所では、簡易診断で40〜100万円、精密診断で50〜200万円と紹介しているところもあります。その他、図面の有無、構造により費用や所要時間が変わるので、電話などで事前に相談し、見積もりを出してもらうようにしましょう。

参考:http://www.taishin-jsda.jp/price.html

(3)しっかり検査や診断をしてくれる専門家を選ぼう!

既存の住宅の耐震診断をするために、住宅診断士(ホームインスペクター)に依頼するなら、民間資格のホームインスペクター、公的資格のホームインスペクターのどちらが良いのでしょうか。

実は、民間資格のホームインスペクターの場合、講習に参加し、認定試験を受ければ誰でも資格を得られるものもあります。そのため、リフォーム会社の営業マンが資格を取得しているケースも見られます。

しかし、リフォーム会社や建設会社がホームインスペクターの資格を取得しているのは、工事の依頼を請け負いやすいからなのです。

確かに、民間の資格とはいえ、講習や認定試験を課せられるため、誰にでもできることではありません。しかし、既存の住宅の強度を、住宅を壊すことなく検査する耐震診断は、建築士のような専門の知識と経験が必要になってきます。

したがって、耐震診断を依頼する場合は、やはり国家資格である建築士(できれば一級建築士)の資格を持つ専門家で、なおかつホームインスペクターの資格も持っている人に依頼するのがベストです。

3、まとめ

いかがでしたか。今回は、耐震診断の内容についてと、耐震診断にかかる費用についてご紹介しました。

耐震診断をする場合、昭和56年以前に建築された家であるなど、条件を満たしていれば自治体が助成してくれる制度もありますので、まず、お住いの自治体のホームページをチェックすることから始めましょう。

昭和56年以降に建てた家であっても老朽化や耐震性が気になるという方は、まずは信頼できるプロに耐震診断を受けて、客観的にお住いの家の状況を知ってから、どんな耐震補強工事をすべきか、そして費用と工事期間を具体的に専門家に聞いた上で、施工業者に相談するようにしましょう。

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