マイホームの購入は、一生に一度あるかないかの大きな買い物です。マイホームの購入を検討されている方は、これから慎重に土地選びをされるところではないでしょうか。
ところで、マイホームは自分たちが住むための家ですが、「実家に近いところにちょうど良い土地があったから」、「建売物件だけど家の内装や外観が気に入ったから」というような単純で理由で住む家のエリアを決めてしまうと、後々、悔やんでしまうかもしれません。
もしも将来売りに出したり、賃貸に出したりするご予定が少しでもあるなら、資産価値のある土地に家を建てることをお勧めします。
それでは、どのような土地なら資産価値があると言えるのでしょうか。今回は、資産価値のある土地とはどのような土地をいうのか、また資産価値のある土地の選び方、土地購入のための手順などについてご紹介します。
1、資産価値の高い土地を選ぶのが大切な理由
マンションにしろ、一戸建てにしろ、住むエリアも大切だけど、家の外観や設備面も重視したいという方も多いですよね。しかし、もしも家族の急な転勤や転職、親の介護などの問題で急に転居しなければならなくなったら、人に貸すか、売却することになりますよね。その際にできるだけ高く貸したり、売ったりできるのは、資産価値のある土地にある物件なのです。
特に売却する場合は、建物よりも土地の資産価値が重要となります。建物は次に住む人の好みで建て替えやリフォームが可能ですが、土地自体は変えられないからです。
例えばご自身がもしも不動産投資をするなら、何十年経っても資産価値が落ちない土地に投資するのではないでしょうか。このように、マイホームの土地を選ぶ際には、自分が住むというよりも、「もし投資するなら…」と考えて客観的な視点で土地選びをされると失敗が少なくなるでしょう。
2、土地の価格の調べ方
もし、買おうかどうか迷っている土地があれば、その土地の価格が周辺の土地の価格の相場に見合っているかどうかをチェックしましょう。その土地の価格が相場とあまりにもかけ離れていると何か事情のある土地なのかもしれないからです。
では、土地の適正な価格を知るにはどうすれば良いでしょうか。土地の価格を知るには、4つの方法があります。
(1)公示価格
公示価格とは、国土交通省が地価公示法に基づいて発表する土地価格の基準値のことです。毎年1月1日時点の価格が基準となり、3月ごろに発表されます。
公示価格を調べるには、国土交通省の公示価格検索ページから都道府県、市区町村などを選択していけば簡単に購入希望をしている土地に近い土地の1㎡あたりの価格を調べることができます。
(2)路線価
路線価は相続税や固定資産税を算出する際に用いられる評価額で、国税局が公表しています。3年に1度、1月1日時点の価格が4月ごろに公表されます。基本的には、公示価格と同等の価格であるとされています。
路線価は、国税局のホームページから路線価図を検索すれば調べることができます。
(3)実勢価格
実勢価格とは、実際に売られている価格のこと。購入したいと思っている土地と似たような広さで同じエリアにある土地が他に売られていないかインターネット等で調べ、比較して見ることで、その土地の相場をつかむことができます。
(4)リセールバリュー
公示価格、路線価、実勢価格は、その土地が妥当な価格で売られているかを知るための参考になりますし、価格の高い土地は単純に資産価値のある土地だと言えなくもありません。
しかし、同じ金額を出して土地を買うならば、将来的にもしも売却するとなった場合にもスムーズに買い手が見つかるような資産価値の高い土地を選びたいものです。そんな時にはリセールバリューをチェックしましょう。
リセールバリューとは、新築分譲時の価格を100としたときの築10年の中古マンションの価格維持率を表す数値のことです。数値が大きいほど、中古になっても価格が下がりにくく、資産価値が落ちにくい物件だと考えられています。
下図に示す東京カンテイが発表したリセールバリューのデータは、過去に流通した中古マンションを駅別に算出したものです。一戸建てや土地のみのデータではなく、マンションの流通実績に基づいていますが、資産価値のある土地を選ぶポイントや資産価値のある街を把握する上でとても参考になるデータです。
(2002年10月~2003年9月の1年間に新規分譲されたマンションの2012年10月~2013年9月に市場流通した中古価格を基に算出)
HP:http://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/machi/m0mss254/
下図のように、東京23区で言えば、100以上の数値が出ているエリアなら、資産価値があり、売却する際にも売りやすいエリアであるということがわかります。
3、土地の資産価値に影響を及ぼすものとは?
家や土地を売却するために、不動産会社に査定をしてもらうと、会社によって査定金額にばらつきが出ることがあります。土地の調べ方でもご紹介した通り、土地を購入する、あるいは売る場合に参考となる価格は、公示価格や過去の取引価格から判断して不動産会社が査定をしますが、しかし、それ以外にももう少し狭い範囲でその土地を見た場合に、どれだけ付加価値がある住環境であるかも考慮して査定額を算出されるからです。
つまり、
(1)交通面での利便性:街中心部へのアクセス、駅やバス停までのアクセスの良さ、敷地の前の道路の広さ
(2)生活面での利便性:スーパー、コンビニへの近さ (3)環境面での安全性:公園や文化的施設の有無、治安、校区など |
この3つのポイントを押さえてあれば、その価値が落ちにくい土地であるといるでしょう。
具体的には
|
このようなエリアを重点的に探されるのがおすすめです。
4、人気のエリアでもおすすめできない土地とは?
資産価値のある土地を選ぶには、利便性や環境が大切です。しかし、それだけでは不十分です。人気のエリアで、利便性の高い場所であっても、条件の悪い厄介な土地というものがありますのでいくつかご紹介しましょう。
(1)地盤のチェック
台風や地震が来た場合に、地盤沈下、浸水、液状化などが起こりやすい地盤の緩い土地ではないかをチェックしましょう。自治体が公表しているハザードマップで確認することができます。また、土地の購入前に一級建築士に地盤チェックを依頼すると安心でしょう。
(2)用途地域の確認
土地を購入された方の中には、気に入って購入した土地なのに、実は商業地域で、夜間は騒がしく、落ち着かないと悩まされる方もおられます。また、準工業地域で日中は工場の騒音に悩まされる土地だったというケースがよくあります。
日本では都市計画法に基づき、住まいの環境を保護する目的で、住居地域、工業地域、商業地域など土地の利用目的に応じて12種類に分けられており、それぞれの用途地域で建てられる建物の種類が細かく決められています。住環境にこだわるなら、住居専用地域を選ぶ必要があるので、土地探しの段階で用途地域の確認はしておく方が良いでしょう。
(3)接道義務の確認
建物の敷地は、建築基準法により、道路に2m以上接しなければならないという接道義務が定められています。
しかし、旗竿敷地や袋地といった、道路に接していない土地を誤って購入してしまうと、家を建てることができなくなりますので、売却すら難しくなるので注意しましょう。
HP:http://www.hzylglj.com/?p=6100
(4)建築条件付きの土地かどうかの確認
建築条件付きの土地とは、あらかじめ指定された建築業者で家を建てる条件で購入する土地のことです。
こういった条件付きの土地の場合、一見、自由な設計で家を建てられそうに感じますが、業者側としては、土地を安く売り、建物で利益を確保しよういう目的で販売しているので、建売り物件と同じような施工しか期待できません。
その上、土地が安い分、建物の建設費用が高くつくケースも多いため結局割高になってしまうこともあります。後々売却する場合、査定額が予想より低くなることも多いので、そのエリアが気に入ってずっと住む予定だという方以外は、慎重に購入を検討しましょう。
5、土地の購入手順
気に入った土地の用途地域や地盤、敷地に面する道路などのチェックが終わり、また、土地に対してどのくらいの大きさの家が建てられるのか、建ぺい率や容積率を確認し、土地を購入する気持ちが固まったら、いよいよ土地の購入手続きに入ります。ここでは、土地の購入に関する全手順を流れに沿ってわかりやすくご紹介します。
(1)土地の持ち主との条件交渉
その土地を買う方向に気持ちが固まったら、早速仲介している業者に連絡し、土地購入の申し込みをしましょう。その際に、売買契約の締結希望日、引き渡し希望日など、こちら側の希望条件を伝えます。値引き交渉をする方も多いですが、相手もできるだけ高く売りたいはずです。
どうしても欲しい土地であれば、家と土地の資金を合わせて現状どのくらい足りないからいくら値引きして欲しいのか、根拠を提示した上で交渉すると、売主さんも誠実に対応してくれるかもしれません。
(2)ローンの事前審査
土地の購入申し込みをしたら、本契約に移る前に、ローンの事前審査を受けておきましょう。土地を購入してから家を建てる場合、①土地の購入②土地の地盤工事③家の工事④家の工事完了⑤引き渡しという手順になるため、建売り住宅やマンション購入の際のような土地と建物を両方含んだ一般的な住宅ローンは組めません。
住宅ローンは、家に対して抵当権をつけて融資を実行するため、土地だけでは住宅ローンが使えないのです。しかし、土地を先に購入しなければ家を建てることはできません。もしも資金が十分にあるなら、土地を先に現金で購入してしまい、家の購入にあたっては住宅ローンを組むということは可能です。
しかし、そうではなく、土地の代金もローンでなんとかしたいという場合には、つなぎ融資や住宅ローンの分割融資という方法を利用して土地を先に購入することになります。
このローンが組めるかどうかの判断は、融資を依頼する金融機関によって異なりますので、売買契約を締結する前に金融期間に事前審査をしてもらっておくと、安心です。
<つなぎ融資、住宅ローンの分割融資とは?>
・つなぎ融資 住宅ローンの融資が実行されるまでの間、つなぎで利用する融資のこと。住宅ローンを利用する金融機関と同じところで借ります。ただし、住宅ローンとは別にローンを組むことになるので、手数料や金利などが別にかかってきます。また住宅ローンのように抵当権を設定できないので金利が少し割高になります。 ・住宅ローンの分割融資 住宅ローンの申し込みの際に融資総額を先に決め、それを分割して土地の購入の際に充てるリーンのことです。契約自体は住宅ローンの一部なので、つなぎ融資よりは低金利で借りることができますが、抵当権の設定が必要となるため、一旦、土地に抵当権をつけて借り、家の完成後に抵当権の設定を家に付け替えるため、登記費用が多くかかります。また、新築住宅の抵当権設定時の登録免許税の特例(税金面での優遇措置)が受けられなくなります。 さらに、金融機関によって分割融資可能な回数が決まっていますので、家の着工や上棟の際に必要なお金もその都度、分割融資してもらえるのかも確認する必要があります。 |
(3)土地の売買契約
土地の購入申し込みを行い、土地をローンで購入する場合、その事前審査もクリアしたら売買契約に移ります。不動産会社などの一室で、宅地建物取引士の資格を持っている営業担当者が主導し、重要事項説明を行ったら、契約を締結し、土地の売主に手付金(土地代の約10%が相場)を支払います。仲介してくれた不動産会社にも仲介手数料の半金を支払います。
(4)ローン本審査
売買契約が済んだら速やかにローンの本審査に進みます。事前審査に通過していればほとんど問題ない場合が多いのですが、事前審査よりも本審査の方が詳しく調査するため、承認まで2週間前後待つのが一般的です。
(5)土地の引き渡し・決済
ローンの本審査が通ったら、融資をしてもらう金融機関でローンの契約を行い、融資を実行してもらいます。当日は売主、買主、不動産業者、司法書士が同席します。土地の売主に残金を支払い、仲介業者に残りの半金を支払ったら、土地の引き渡しを受けます。それと同時に所有権移転登記、抵当権設定登記の申請手続きを司法書士にしてもらいます。以上が、土地購入の流れです。
6、まとめ
いかがでしたか。今回は資産価値のある土地の選び方と土地を購入するための手順についてご紹介しました。
資産価値が高い土地、そして資産価値が落ちにくい土地を選ぶには、ご自分が投資家になったつもりで、何十年先も購入金額に近い価格で売却できるかどうか、土地の価格の推移、そのエリアの環境、将来的な都市計画、土地の地盤、土地の形などを客観的に見て冷静に判断することが大切です。
今回の記事がこれからマイホームのための土地購入をご検討されている方のご参考になれば幸いです。