憧れのマイホーム。いざ、一戸建てを購入しようとしているみなさん。「一戸建ての購入費用」と一口で言った時、どこまで含まれるかをご存知ですか?
「土地と建物代」の他に、戸建て購入にはさまざまな費用がかかります。この記事では、不動産のプロである西武開発の営業担当が、戸建て購入に関する諸費用と、費用をできるだけおさえる方法についてご紹介します。
1、戸建ての購入費用は「土地+建物代」だけ?
不動産のチラシを見ると、建物代の他に諸費用についても書かれていますね。住宅、特に戸建て購入の際には、土地と建物代以外にも細かな出費があるんです。それぞれ、どういった費用がかかるのか見てみましょう。
(1)物件価格
いわゆる「土地と建物代」です。
①土地代や建物代は相場?
土地代や建物代にもいわゆる「相場」といったものがあります。不動産のチラシや店頭の広告でも相場感を得ることはできますが、インターネットでも調べられます。
- REINS(レインズ)
HP:http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do
こちらは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が管理している不動産情報サイトです。実際の売買価格を基に、その土地の相場などが調べられます。
②相場より高かったら? 安かったら?
相場を調べて、「高い、安い」といったケースもあるでしょう。他より良い立地、あるいは悪い条件があるなど、自分で判別がつくケースでない場合は、不動産の担当に理由を聞いてみるのも手です。中には「売主が早く土地を売りたいと思っているから」と相場より安い値で販売されていることもあります。
(2)仲介手数料
不動産を購入する際に、売主と買主を繋いだ仲介会社に仲介手数料を支払います。こちらは上限が売買価格×3%+6万円と法令で定められています。支払いのタイミングは引越し前までですが、契約時に半分支払うケースが多いようです。
(3)ローン借入費用
ローンの手続きの際に、諸手続に対する費用が発生します。
(4)司法書士報酬金
土地や建物の登記などで、司法書士に書類を作成してもらった際に、費用が発生します。
(5)忘れてはいけない消費税
新築住宅を購入する場合、「建物分の価格」に対して消費税がかかります。この記事を書いている2016年の段階で、消費税は10%。仮に建物代2000万円の価格の戸建てを購入するとしたら、2000×10%で200万円。建物代2200万円+土地代という計算になります。
他に住宅購入の際に消費税がかかるのは、下記の費用です。
- 仲介手数料
- ローン借入費用
- 司法書士報酬(一般的に登記費用内に含みます)
(6)購入費用以外にも出費が!
住宅の購入を検討する時に、住宅の価格だけを見ていませんか?
実は、購入にあたり諸費用が発生します。諸費用の支払い時期と共に、必要な経費を見てみましょう。
①購入物件を決めたらすぐに支払うお金
- 購入申し込み金……申込証拠金(2~10万円)※いらない物件もあります
- 売買契約金……手付金(価格の5~10%)、印紙税(1万円)
②引き渡しまでに支払うお金
- ローン契約時……印紙税(2万円)
- 購入物件の残代金(物件費用-手付金など)、購入諸費用(6~10%)
※物件によっては、売買契約時と引き渡し時に仲介手数料が必要になります。
(7)引っ越し費用や家具代に要注意
「物件の費用だけならなんとかなりそう」と思っても、注意しなければならないのは引っ越し代や家具代です。特に、家具は新しい家に住むとなると家にあわせて買いそろえたくなるもの。カーテンや照明代も地味に加算されます。
今住んでいる家とほぼ同じ間取りでしたら、家具のことはそんなに気にしなくてもいいかもしれません。が、より広い家に移る際には、家具やカーテンなどこまごました出費にも気を付けましょう。
(8)部屋の数だけいるエアコン
ここ数年の猛暑で、エアコンなしの生活をしている人は稀でしょう。床暖房などをつければ冬はしのげるかもしれませんが、夏に全くエアコンなしというのはよほど環境に恵まれていない限り厳しいのが現状です。
となると、部屋の数だけエアコンが必要になります。部屋の広さや使用頻度・家族構成により、求められる機能は異なります。特に家族がよく集うリビングや毎夜必ず使用する寝室のエアコンはよく吟味して購入することをお勧めします。
(9)半年~1年半後にやってくる「不動産取得税」
引き渡しを終え、半年~1年半後に不動産取得税の通知が来ます。これは物件の取得後、1度だけ払えばよい税金です。税額は物件により異なり、ゼロとなるケースもあります。
(10)毎年支払うことになる「固定資産税」
マイホームを手に入れると、付随してくるのがこの固定資産税。税額は物件により異なりますが、毎年4月に通知が来ます。購入後の生活設計を考える際は、こちらの固定資産税のことも予算に組み入れましょう。
(11)積み立てておきたい修繕費
戸建ての場合、マンションと違って修繕費をどこかに支払う必要はありません。ただし、いざ不具合が出た場合には、自分達で資金を調達して直す必要があります。
屋根の修繕に100万円、キッチンやお風呂場などの水回りには設備によりますが200万円前後が目安です。メンテナンスの必要周期は10~15年と言われています。購入時から計画的に対策しておくことをおすすめします。
(12)厳密には住宅購入費用ではないけれど……
一戸建てを購入する時に、立地条件や学校、職場との距離を気にする人は多いですが、その土地の町内会の仕組みまで考える人はほとんどいません。土地によっては、強制的な加入や、消防団への加入も進められるケースがあります。そういった町内会費やつきあいの出費も考慮しておくと良いかもしれません。
2、一戸建ての購入費用を抑えるポイント
これまで費用のことを並べてきました。手続き費用や土地代は削るのが難しいですが、他の手段でトータルの費用を抑えることはできます。こちらでは、戸建て住宅の購入費用を抑えるポイントをご紹介します。
(1)購入の際に自分でできる工夫5つ
①土地の地盤の強さまで調べる
土地を購入する前に、地盤の強さを意識して調べてみましょう。もし戸建てに耐えられない場合、地盤改良するために50~80万円の費用がかかります。その費用がかからずにすむのです。
▼50~80万円のコストダウン
②設備はなるべく1か所に固める
特にトイレ、キッチン、バスなどの水回りは1か所に固めたほうが無難です。不具合が出た場合の修理や改修コストも少なくて済みます。
▼10万円前後のコストダウン
③施主支給する
キッチンやバス、インターホンや洗面台を施主であるあなたが揃え、業者に渡す方法です。これは節約以外にも「こういうデザインがいい」というこだわりを実現できるメリットがあります。オークションなどで展示品を競り落とすのも手です。
▼数十~百万円単位のコストダウン(差額による)
④窓の形を複雑にしない
「小さなころから出窓に憧れていた」や「ここに特注の窓をつけたい」といった要望はあると思います。ただ、窓をつけたらそのまま、というケースは稀ですよね。通常はカーテンをつける等なんらかの目隠しをするのが一般的です。
窓が特注であれば、当然カーテンなど窓に付随する小物も特注となります。一般的なサイズにすることで、その分をコストダウンできるのです。
▼10万円前後のコストダウン
⑤できるところは自分でやる
照明やカーテンの取り付けなど、自分でできるところは自分でやれば、その分費用は下がります。DIY得意な方は、外構にチャレンジする人もいるようです。自分の器用さと費用を十分に考慮しましょう。
▼数万~十数万円のコストダウン
(2)これを削ってはダメ!NGポイント4つ
節約に目を奪われると、削ってはいけない部分まで手を出す危険性があります。中でも削ってはいけないのはこの4つです。
- 構造
- 壁の素材
- 断熱
- ペアガラス
①構造
家の作りの基本です。この部分をコストダウンしようとすると、家自体の耐久性や住みやすさが損なわれてしまいます。
②壁の素材
こちらも一般的なハウスメーカーで推奨している素材は、それなりの耐久年数を持つものです。よほどこだわりがある場合を除いては、実績のある素材を選んだ方が良いでしょう。
③断熱
春夏秋冬、四季のある日本では、断熱は大切な要素です。夏の暑さや冬の寒さも断熱素材の有無で快適さが大きく違います。特に雪国や南国では、その土地に見合った素材を選びましょう。
④ペアガラス
窓の断熱やぼうおんに一役買ってくれるのがペアガラスです。窓はよほどのことがない限り割れることもなく、また滅多に買い替えるものでもないので、最初から良い素材にしておくことをお勧めします。
基本的に「後で壊さないと改善できないところ」には手を出さないほうが無難です。仮に住んでから「直したい」と思っても、大体的な工事が必要になってしまいます。せっかくコストダウンしたのに、それでは本末転倒ですよね。
「どこを削って良いのかわからない」という場合には、私達不動産の担当にご相談ください。親身になって対応させていただきます。
3、大切なのは、「数十年後のこの家と家族」を考えること
一戸建て住宅というのは、購入してから長く住み続けるものです。そのため、購入時の姿だけでなく、十年後二十年後の姿を思い浮かべる必要があります。今は若いあなたも、二十年後には年をとっているでしょう。その時、家族は?
「今は元気だからこの機能は必要ないだろう」と削ろうとしているものは、後で簡単につけられるものでしょうか。そうでなければ、それは家族にとって「必要経費」かもしれません。
この記事がより良い家づくりの参考になれば幸いです。