賃貸or購入?決断に迷ったら考えたい3つのこと

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人生の中で、最も高い買い物となる「家」、賃貸にしろ、持ち家にしろ、住居費にかかる費用というのは、生涯賃金の中でも大きな割合を占めます。

ところで、家を借りるか購入するかを迷って、モデルルームやオープンハウスに行った経験のある方なら、不動産会社の営業担当者に、こう言われた経験はありませんか?「賃貸なら毎月お金を支払うだけですが、家を購入すれば、自分の資産になりますよ!」

確かに、賃貸では自分の家にはなりませんが、実際に住居費として支払うトータル費用を考えたら、賃貸でも購入でもかかってくる費用は少し購入の場合が安いものの、ほとんど変わらないと言われています。

それでは賃貸と購入では生活の質はどう変わるのでしょうか。

そこで今回は、賃貸に住み続けるか、ローンを背負ってマイホームを購入するか迷ったときに、考えるべき3つのポイントをご紹介します。

1、賃貸と購入それぞれのメリットとデメリット

家を賃貸する場合と購入する場合、どちらがお得かを考えるために、それぞれにかかる費用を整理してみましょう。そして、それぞれのメリット、デメリットをまとめていきます。

(1)賃貸と購入、それぞれにかかる費用

賃貸と購入それぞれにかかる費用のうち代表的なものを挙げます。

<賃貸の場合にかかる費用>

  • 敷金
  • 礼金
  • 契約の更新料
  • 毎月の家賃
  • 毎月の管理費

<購入の場合にかかる費用>

  • 頭金
  • 仲介手数料などの諸費用
  • 毎月の住宅ローン返済
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税
  • 火災保険料
  • 必要に応じてリフォーム費用等

このように、賃貸でも購入でも家賃やローンの返済以外に必要な費用というものがあり、家を購入した場合でも、マンションなら管理費など、住み続ける限りは支払い続けなければならない費用というものが存在します。

(2)賃貸のメリットとデメリット

ここでは、賃貸のメリットとデメリットをまとめます。

①賃貸のメリット

  • 購入するよりも初期費用が少なく済む
  • 固定資産税などの維持費は管理費なら賄われるので負担が少ない
  • 自分でメンテナンスする必要がない
  • ライフスタイルに合わせて住み替えがしやすい

②賃貸のデメリット

  • 何十年と家賃を支払い続けても資産として残らない
  • 家賃を支払う人(世帯主)に事故などがあると家賃の支払いの心配が出てくる
  • 分譲マンションや一戸建てではなく賃貸用の物件の場合、壁が薄くピアノやペット不可とされる場合がある
  • 自分の好みにリフォームできない

(3)購入のメリットとデメリット

次に、購入のメリットとデメリットをまとめましょう。

①購入のメリット

  • 定年後も住まいの心配をせず、住み続けられる
  • 資産として残るため、将来的に売却も可能である
  • 自分の好みでリフォームが可能である
  • 世帯主に万が一のことがあっても団体信用生命保険に加入して入れば住宅ローンの返済を免除されるので住み続けることができる

②購入のデメリット

  • 地域や周囲の住民に馴染めなくても、簡単に引っ越しできない
  • 賃貸よりも深いご近所付き合いが発生する場合がある
  • 一戸建ての場合は、自分でメンテナンス費用を積立たり、業者を手配する必要がある

2、賃貸と購入、結局どっちがお得?

賃貸と購入のそれぞれのメリット、デメリットをご紹介しましたが、それでは結局どちらがお得なのでしょうか。

よく、マイホームは資産になると言われますが、賃貸で住み続けるよりも本当にお得なのでしょうか。

同じ物件を買う場合と借りた場合で以下のように比較してみましょう。

<前提条件>

(賃貸で家賃10万円を支払い、35年住み続ける場合)と、2000万円の物件を35年ローン、金利2%、頭金400万円を入れて購入した場合)として比較します。

  • 賃貸した場合

初期費用:敷金、礼金で30万円

家賃(35年分):4200万円

契約更新費用(2年に1度、家賃1ヶ月分):170万円

合計:4400万円

  • 購入した場合

初期費用(頭金、諸費用):550万円程度

ローン(35年):約2230万円

管理費、修繕積立金、固定資産税:約1000万円

合計:3780万円

 

この金額の差だけを見れば、購入した方が少しお得に見えます。しかし、金利は変動します。1%でも上がれば数百万円単位で返済額が変わってきますから予測は難しいですよね。

また、家賃もずっと同じ金額とは限らないので、一概にどちらが得とは言えず、最近では賃貸と購入、同じエリアで同じ間取りという条件であれば、ほとんど変わらないと考えられています。

4、決断に迷ったら考えたい3つのポイントとは

賃貸でずっと住み続ける場合と、家を購入する場合、どちらもそれぞれに良さがあります。それでは、何を基準に決断すれば良いのでしょうか。

ここでは賃貸か購入か、決断に迷ったときに考えたい大切な3つのポイントについてご紹介します。

(1)これからのライフステージを考える

賃貸と購入、それぞれにメリットもデメリットもあり、必要となる費用は景気などによって変動しますから、結局どっちが得かは結果論といっても差し支えありません。

大きな買い物であるマイホームを検討する際には、これから家族が増える予定だとか、一生住み続ける予定だという将来的な予測を立てて購入される方がほとんどです。

しかし、そう予想通りにいかないのが人生です。

  • 子どもが欲しかったけれどできなかった
  • 一人っ子の予定だったけれど子供が二人になって手狭だ
  • 子供が独立して夫婦二人で住むには広すぎる
  • 環境に馴染めないから引っ越ししたい
  • 夫の仕事の都合で引っ越しすることになった

このように、購入当初には予想できなかった突発的な事態が起こり、ずっと住む予定で買ったマイホームを売却し、転居することになる可能性も否定できません。

このような事態が起きた場合、住宅ローンの残債があれば、家を売って引っ越すことになりますよね。

しかし、良いタイミングで売却できるとは限りませんし、売却できても売却損が出てしまう場合もあり、賃貸にしておけばよかったと思ってしまうかもしれません。

一方、賃貸の場合は、

  • 新婚のときは40㎡ほどの住まい
  • 子供が生まれたら80㎡程度の住まい
  • 子供が独立し、夫婦二人暮らしになったら40〜60㎡ほどの住まい
  • 夫婦どちらかが他界したら30〜40㎡ほどの住まい

というように、ライフステージに応じて気軽に転居できるという大きなメリットがあります。

(2)お金に換算できない「資産」として考えてみる

賃貸の場合、購入とは違い、家を資産として残すことができません。そのため、夫が他界したなど万が一の自体を想定すると、今後の住まいの心配が付きまといます。

さらに、賃貸の場合において、ライフステージに合わせて何度か引っ越しを重ねていると、家に対する思い出が断片的になりがちで、家に愛着が湧きにくくなってしまう場合があります。

そのため、子どもの思い出として損得勘定では測れない「家」の思い出を優先するならば、賃貸よりもマイホームを購入した方がメリットは大きいと言えるでしょう。

マイホームなら、子供が自立した後も、帰省しやすい環境が整えられます。

(3)購入するなら相場より高すぎないか考える

変化する人間のライフステージ、お金には変えられない大切な思い出ができるという意味では、マイホームの購入は賃貸よりもある意味、資産価値が高いと言えるでしょう。

しかし、そうはいっても、何か突発的な事情でマイホームを売却することになってしまった場合、購入した金額よりもかなり安い金額でしか売れなかった場合、結果的に「マイホームの購入は損だった」ということになってしまいますよね。

そこで大切なのが、もしも家を購入する選択をしたのなら、「損をする家を選ばない」ということです。

①買ったら損をする家とは?

ここでご紹介したい「買ったら損をする家」とは、すなわち購入した当時よりも資産価値が著しく低下するリスクのある家ということです。

例えば他に似たような物件があったにもかかわらず、相場よりも高い金額で購入してしまった場合が代表的な例です。

相場は、過去の近隣の取引価格を考慮してつけられている価格なので、相場よりも高くで購入してしまうと、もしも売却する場合、相場に合わせてかなり安い金額に落として売ることになってしまう可能性が高いです。

また、賃貸と購入を比較した場合、賃貸の方が少し安いもののほとんど変わらない金額がかかってくることをご紹介しました。

この比較は、あくまでも相場で賃貸や購入をした場合で比較しているので、相場より高い金額でマイホームを購入してしまうと、必然的に賃貸で借りた方が安く済んだということになってしまいます。

そして、新築物件の購入も「損をする家」と言えるでしょう。

日本では新築への憧れが強く、同じようなエリアにある同じような間取りの中古物件を買うなら、新築を買った方が良いという人が比較的多いです。

そのため、新築物件は完売していても、近くの中古物件は売れ残っているということも多いですよね。

確かに憧れのタワーマンションや、理想の間取りを実現した一戸建てはプライスレスかもしれません。

しかし、新築のセールスには、工務店、デベロッパー、営業マンなど多くの人が関わっており、人件費もバカになりません。そのコストを、新築物件に上乗せされて売り出されているのです。

だから、新築物件にこだわらないなら、築浅の物件を検討するのも賢く家を購入するコツでもあるのです。

②損か得か!見極めるポイントは「200倍の法則」

それでは、すべての新築物件が割高なのかというと、そうではありません。

少し駅から離れている物件や都心へのアクセスが少し悪い、人気エリアの端っこにある、ペット不可のマンションである、などちょっとした環境や設備面でデメリットがあれば、「新築でも損をせず、賃貸よりも資産として残る分お得である!」と言える物件を見つけることはできます。

その方法とは【200倍の法則】です。

200倍の法則とは、購入を検討している不動産を、賃貸でずっと住んだ場合と比較し、購入した方がお得かどうかを判断する指標となるもので、家賃の200倍以内なら買った方が得、200倍以上なら借りた方が特になると判断します。

<例>

購入したいマンションが2000万円。

その周辺エリアで同じ広さの賃貸物件の家賃相場12万円だったとします。

200倍の法則を当てはめると、

12万円×200=2400万円

 

となるので、「購入した方がお得」ということがわかります。

ではなぜ、200倍という値が出てくるのでしょうか。これは、不動産投資の経験則によるもので、「利回り6%の法則」に基づき計算された数字です。

利回り6%の法則は、不動産投資家が投資を考える際の基準になる指標の一つで、投資用に購入した物件を賃貸に出した場合にどのくらい収益が得られるかを計算したものです。

一般的に、手堅く資産運用ができるのが利回り6%と言われています。例のように、2000万円の物件に6%をかけてみると120万円(=賃貸した場合の年間家賃収入)となります。

つまり、その物件の年間の家賃が10万円と計算できるので、周辺の相場が家賃12万円なら、購入しても損をせずにすむ物件だということがわかります。

ただ、利回りで計算するよりも家賃の200倍以内で計算した方が直感的に損か得かを判断できるので、「200倍の法則」がよく用いられています。

このように基準値を知っていると、その物件を購入した方が得なのか損なのかをすぐに判断することができます。

ちなみに、新築物件の場合は、人件費なども込みで売り出されているため、近隣の家賃相場の300倍で価格設定がされていると言われています。

だから、新築物件は買った瞬間に資産価値が下落し、損をしやすいと言われるのですね。

高くてもこの土地に、この家に住みたいというのであれば、資産価値よりも価値観を優先して購入するのも良いですが、単純に家賃を何十年も支払っていくよりも購入した方が得なのではないかと思って購入を検討されているあら、200倍の法則を使って、買っても損をしない家を冷静に見極めることが大切です。

まとめ

いかがでしたか。今回は、マイホームを購入するか、ずっと賃貸に住み続けるか迷ったときに考えるべき大切なポイントについて整理し、ご紹介しました。

賃貸でも購入でもそれぞれにメリット・デメリットはあります

そして、賃貸でも購入でも、相場に見合った価格で家を借りたり、購入したりすれば、トータルの費用も大きな差ありません。

大切なことは、ご自身やご家族が、人生は計画通りにいかないということを冷静に受け止めた上で、それでも納得した上で住まいの選択をすることなのです。

表面的な損得勘定だけで考えず、自分たちがどんなライフスタイルを手に入れたいかをしっかり家族で話し合い、決めていくことが大切です。

マイホームを購入するにしても、新婚時に購入するのか、家族計画を立て、子供が生まれてから購入するのか、老後に夫婦向けにバリアフリー家を購入するのかなど、ライフステージの変化に合わせ、最適なタイミングでマイホームを購入し、それまでは賃貸にするというのも選択肢の一つです。

今回の記事が、住宅を賃貸にするか購入にするかで迷われている方に少しでも参考になれば幸いです。

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