環境問題や化石燃料の枯渇問題、原子力発電への懸念などから、日本でも自然エネルギーが注目されるようになってきました。自然エネルギーというと、太陽光、風力、水力、地熱などが代表的ですが、これらの中でも家庭でいち早く取り入れられたのが屋根に太陽電池モジュール(ソーラーパネル)を設置して太陽光発電ではないでしょうか。
ところで、太陽光発電システムの導入は、設置にかかる初期費用が高額になるため、なかなか手が届かないという方も多いですよね。
太陽光発電がエコであることはわかっていても、設置すべきなのか悩まれる方も多いでしょう。
そこで今回は、太陽光発電を導入するかしないか悩んだときに知っておきたい太陽発電のメリット、デメリットをご紹介します。これから一戸建てのマイホームを購入される方や、集合住宅のオーナーさんのご参考になれば幸いです。
1、太陽光発電とは
太陽発電とは、太陽電池モジュールをはじめとする機器を使い、太陽光エネルギーを電気に変換して電力を得るシステムのことです。太陽電池モジュールとは、住宅用では主に屋根に設置するソーラーパネルのことを指します。
昔は、ソーラーパネルと呼ばれることが多かったのですが、一昔前に流行した太陽熱温水器に使用する部品と名称が似ていることから、ソーラーパネルではなく、太陽電池モジュールという名称を使用しているメーカーが増えています。
太陽発電というと、一昔前は、広い土地にパネルを設置するタイプが主流で、企業や地方の自治体の余分な土地を利用し、電気を作って利用していました。これは、都会よりも地方の方が、土地が安い上に建築物が少なく、建物が密集していないため、太陽光を効率よく集めやすかったからです。
このように、産業用として太陽発電が使われていましたが、近年では、国によって一般の住宅にも太陽発電の普及が推進されるようになりました。これにより、太陽の光を自分の家で ①電気を作る ②電気をためる ③電気を使う④電気を売るということが可能となりました。
2、太陽発電に必要な機器
太陽発電というと、太陽電池モジュールを設置するだけの印象をお持ちの方も多いでしょうが、パネルの設置だけでは、集めた光を電気に変換し、家で使うことはできません。
出典:https://sumai.panasonic.jp/solar/need.html
住宅用太陽発電には、「太陽電池モジュール」以外にも、太陽電池モジュールで発電した電流を集める「接続箱」、接続箱から送られてきた電流を家庭で使えるように変換する「パワーコンディショナー」、作った電気と使った電気の量が一目でわかる「モニター」や家庭内に電気を配る「分電盤」、太陽電池モジュール発電システムと連携した「ブレーカー」などの機器が必要となります。
家の大きさにもよりますが、この機器類の設置にかかる費用が100万円前後必要となりますが、電気を作ることで電気代が安くなります。また、電力会社に売電すれば収入を得ることもできますので、10年後を見据えると、設置にかかった費用を回収することは可能です。
3、太陽発電の導入! メリットとデメリットのまとめ
ここでは太陽発電を導入すべきか迷われている方のために、メリットとデメリットについて詳しくまとめてご紹介したいと思います。
(1)太陽発電の7つのメリット
環境に優しい太陽発電には、メリットがたくさんあります。ここでは、太陽発電のメリットを7つ、ご紹介しましょう。
①光熱費を節約できる
太陽発電システムを導入し、自分の家で発電すれば、家庭で使う電力をまかなうことができます。また、システム導入時にオール電化にすれば、ガス料金が不要となるのでさらに光熱費を節約することも可能です。
②停電時に非常電源として使える
太陽発電システムではパワーコンディショナを利用します。パワーコンディショナとは、作った電力を家庭で使えるように変換する機械です。
この機械で、停電などで電力が供給されなくなったときに、自立運転に切り替えることができるので、電話や冷蔵庫、テレビなどの家電を引き続き使うことができます。
③自治体からの補助制度が受けられる
日本では都道府県や市町村など、各自治体からも太陽発電システムを導入している住宅に対して1kWあたり2万円前後を補助する制度が実施されています。ただし、お住いの自治体が必ず補助制度を実施しているとは限りませんので、ホームページなどで確認しましょう。
また、各自治体によって、補助を受けられる条件や申請手続きの方法、補助金額などに違いがあるため、詳しい内容についてもあらかじめ調べておくと良いでしょう。
④余った電力を買い取ってもらえる
産業用の太陽発電では、作った電力を全量買い取られますが、住宅用太陽発電は、家庭内で消費し、余った電力だけを電力会社に売ることができます。ここ数年は買取り価格が下がっていると言われていますが、昔よりも太陽発電システムの導入コストが下がってきているので、これまで通り10年前後で初期費用の回収が可能と言われています。
⑤設置場所は自由
太陽発電というと屋根に設置するイメージが強いですが、日射量を確保できればどこに設置しても構いません。
⑥耐用年数が長い
定期的なメンテナンスは必要ですが、太陽電池モジュールの耐用年数は長く、平均で20年以上と言われています。初期費用の回収が10年ほどかかると言われていますので、費用を回収すれば初期費用回収後の10年間はお得に利用できるということになります。
⑦曇りや雨の日でも電気を作ることが可能
太陽発電は晴れの日しか発電しないと思われている方も多いですが、曇りや雨の日でも発電します。ただし、晴れの日よりも作られる電力は少なくなります。
(2)太陽発電のデメリット
メリットも多い太陽発電ですが、もちろんいくつかデメリットもあります。ここでは6つの代表的なデメリット挙げましょう。
①天候や日照時間、障害物などに影響されやすい
太陽発電の発電量は日射量によって大きく左右されます。曇りや雨でも発電するとはいえ、晴れの多い地域と雨の多い地域ではコストパフォーマンスに差が出ます。
また、設置時には十分に発電できていたのに、後から近隣にビルや住宅が建ち、影ができて発電量が減ってしまう可能性も否定できません。太陽発電システムを設置する前に、近隣に工事の計画がないかなど、よくリサーチしておきましょう。
②夜間は発電しない
天候が多少悪くても、昼間であれば発電しますが、夜間は発電しませんので蓄電機能を持った蓄電池などの周辺機器を備えておくと安心です。
③初期費用が高い
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太陽発電システムは、光熱費を節約できるなどメリットも多いのですが、やはり初期費用に100万円前後は必要となります。
④パネルの設置により景観が悪くなる可能性がある
新築時に太陽発電システムを導入する場合は、太陽電池モジュールの色と屋根の色を合わせれば良いのですが、リフォームなどでパネルを後付けする場合は、景観が悪くなる可能性があります。
⑤信頼できる業者の見極めが難しい
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屋根に太陽電池モジュールを設置する場合、屋根に穴を開けて工事を行います。そのため、ずさんな業者に依頼してしまうと雨漏りのリスクがありますから、安心できる業者を探すことが大切です。
⑥定期的なメンテナンスが必要となる
太陽発電システムは耐久性が高いため平均20年は持つと言われています。とはいえ、部品の交換など定期的なメンテナンスは必要です。突然の出費に驚かないためにも、定期点検の時期や部品の費用などはあらかじめ業者にたずねておきましょう。
(3)迷ったらどうする?
ここまでご紹介してきたように、太陽発電はメリットも多い分、デメリットもいくつかあります。環境に優しい自然エネルギーを使った生活は、魅力的ですが、現時点においては、太陽発電を利用するか、しないかで迷われているなら、結局どうするのが一番良いのでしょうか。
①少しでも興味があるなら早めの設置がベスト!
太陽発電システムは、認知度も上がり、導入しているご家庭も増えてきてはいますが、全国的に見ればまだ設置している住宅は少ないです。しかし、今後ますます普及してくると、太陽発電がスタンダードになる時代も来るでしょう。そうなれば、売電価格が下がり、初期投資の回収が遅くなってしまう可能性があります。
また、全国的に普及されれば、自治体の補助制度もいつ廃止されるかわかりません。現に、国からの補助制度は2013年をもって終了しています。
したがって、太陽発電システムを導入するなら、できるだけ早めに動くのが得策と言えるのではないでしょうか。
②設置を決めたら複数の業者に見積もりを出してもらおう!
ただ、初期費用が高く、100万円前後かかるのがネックだという方もおられるでしょう。補助金制度を利用しても、マイホームを購入する費用や建て替えの費用などを工面しながら、太陽発電の費用も必要となると確かに頭を悩ませてしまいますね。
そんな場合には、複数の業者から見積もりを取り、大手で信頼でき、しかも設置費用が安い業者を探しましょう。多くのご家庭では太陽電池モジュールを屋根に設置します。この際にずさんな工事をされてしまうと、取り返しがつきません。また、定期的なメンテナンスが必要不可欠ですから、信頼できる業者を選択することがとても大切です。
4、まとめ
いかがでしたか。今回は太陽発電の導入を迷った場合に知っておきたい太陽発電についてご紹介しました。
太陽発電は、ここまでご紹介してきたように、メリットとデメリットがそれぞれあります。また導入するにあたっては初期費用がかかります。しかし、補助金制度を上手に活用すれば効果的に節電でき、経済的な魅力もたくさんあるシステムでもあります。
そして、地球温暖化などをはじめとする環境問題は、今後ますます深刻になり、太陽発電は日本でも将来的にはスタンダードになる可能性も高いです。そのときに備えて、一度は太陽発電システム導入にかかる費用の見積もりを取ってみるのもおすすめです。今回の記事が、太陽発電の導入を迷われている方のご参考になれば幸いです。