不動産の価値を調査する「土地家屋調査士」とは

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家を建てるにあたって、土地を購入される方もおられるでしょう。ところで、土地の価格は、誰が決めているのでしょうか。例えば、同じ広さの土地であっても都会と田舎では価格が全然違います。

つまり、土地の資産価値は、人口の多さや利便性など住環境によって左右されるということですよね。そしてその資産価値は、1年に1度、国土交通省が「公示価格」として発表しています。

では、ある街に売り出し中の空き地があったとしましょう。この空き地の価格は公示価格では1㎡あたりいくらであるかはわかりますが、実際に土地を購入する場合、面積がわからなければ売買ができませんよね。

この土地の物理的な大きさを計測し、価値を調査するのが土地家屋調査士です。もちろん、土地だけでなく、新たに建てられた家屋(建物)についても、不動産登記申請の書類と実際の家屋に相違がないかも調査します。

今回は、この物理的に土地や家屋の価値を調査する土地家屋調査士の仕事内容や、土地を買って家を建てるにあたってどのように買主と関わってくるのかについてもう少し詳しくご紹介していきます。

1、土地家屋調査士とは

土地家屋調査士は、不動産の調査、測量、表示に関する登記申請を行う専門の国家資格を持ったスペシャリストです。

土地家屋調査士の業務は、土地や家屋を売買するときや、家を新築、増改築した場合、農地を住宅地に変更する場合などに、不動産の登記を行うことです。

「表示登記(または表題登記)」と言って、土地や建物の状況を物理的に測定、調査し、面積や所在地の地番に誤りがないか調査し、図面を作成して、法務局に登記の申請手続きをすることのが主な業務です。

不動産の売買取引では、司法書士が登記手続きをすると思われている方も多いですよね。

しかし、実は不動産登記には「表示登記」と「権利登記」の2つの種類があり、土地家屋調査士が担当する登記が「表示登記」で、司法書士が担当する登記が「権利登記」となっています。

まずは、土地家屋調査士が、不動産の実際の数字を明確にし、その不動産の権利関係を司法書士が明らかにして届け出るため、登記申請の流れとしては「表示登記→権利登記」の順になります。

この2つの登記が完了したら、買主さんには、「登記済権利証書」が法務局から発行されます。これが、いわゆる権利書と呼ばれるものです。

このように、土地家屋調査士は、その不動産の物理的な価値を調査し、法的に書類としてまとめて申請するという測量の技術と法的な専門知識を併せ持った不動産取引に欠かせない専門家なのです。

2、土地家屋調査士の仕事内容

憧れの一戸建てを建てるには、土地家屋調査士との連携が欠かせません。ここでは土地家屋調査士の業務内容についてもう少し具体的に見ていきましょう。

(1)土地の測量

土地家屋調査士は、測量のプロであり、不動産に関する法律知識の専門家でもあります。そのため、フィールドワークとデスクワークの両方をこなします。

土地の測量は、そのうちのフィールドワークの部分になります。

たまに道を歩いていると、道路に三脚やカメラを置いて、土地や建物の写真を撮影している人を見かけたことのある方もおられるのではないでしょうか。この作業をしているのが土地家屋調査士です。

(2)権利関係の表題部の登記申請手続き

土地家屋調査士の仕事は、文字通り、土地と家屋を調査することです。つまり、例えば同じ土地であっても、使われ方が変われば、その都度、調査をし直し、図面を作成し直して法務局に登記の変更手続きをしなければなりません。

新築、増改築、相続で分筆(土地を分ける)する場合も土地家屋調査士が実地で調査し、図面を作成、司法書士が権利関係を明確にしやすいように書類にまとめ、不動産を物理的にフォローします。

これを不動産の表題部の登記申請手続きと呼び、土地家屋調査士のデスクワークの部分になります。

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家を新築した場合には土地家屋調査士に依頼し、建物表示登記を行いますが、それ以外にも以下のように色々な理由で土地の使用方法が変更された場合にも表示登記を行う必要があります。

<不動産表示登記の例>

  • 農地から住宅地へと土地の使用状況が変わった場合など:土地地目変更登記
  • 土地を一部だけ売却するために分筆を計画している場合:土地分筆登記
  • いくつかに分かれている土地を一つの土地に合筆させたい:土地合筆登記
  • 建物を新築した場合:建物表題登記
  • 建物を増築して床面積が変わった場合:建物表題部変更登記
  • 建物を取り壊した場合:建物滅失登記

(3)土地の筆界に関する紛争解決

http://www.aigiken.com/results/detail/id=14

土地家屋調査士は、土地や建物の測量や表示登記をするだけではありません。土地にまつわるトラブルの専門家でもあります。

ここまでご紹介したように、土地家屋調査士は、土地を測量し、価値を調査する仕事を主にしていますが、それ以外にも、土地にまつわる紛争の解決をするという仕事もしています。

土地を購入し一戸建ての家を建てる場合、建築基準法を守っていれば近隣住民の生活をおびやかすような事態には発展しません。

しかし、それでも日当たりが悪くなったとか窓からお隣の家が見えるのが気になるなど、近隣住民から苦情をいれられ、トラブルに発展するケースはよくありますよね。

このような近隣とのトラブルの中でも、例えば次のような事例の場合、土地家屋調査士が紛争の解決を手伝ってくれます。

<トラブル事例>

お隣が勝手に増築してうちの土地に入ってきた気がする。

土地を売却しようとしたらお隣の塀が実は自分の土地の一部だった。

隣の家と自分の家の境界標の近くで道路工事があり、いつの間にか境界標がずれていて境界が曖昧になってしまっている。

 

https://www.photo-ac.com/main/download/

長年同じ地域に住んでいると、お隣との境界も曖昧になり、このようなトラブルが出てくることがあります。

もしも、今後のご近所付き合いもあり、土地の境界に関してトラブルがあってもなかなか苦情をいれにくいとか、苦情を言っても相手が取り合ってくれないというような状況になり、困った時には、土地家屋調査士に相談しましょう。

土地家屋調査士がその場に立ち会ってくれ、法務局に保存してある図面から正確な土地の境界を当事者と一緒に確認し、トラブルを解決へと導いてくれます。

このように、土地家屋調査士は、測量を通して不動産の価値を調査したり、図面を作成したり、登記申請業務をおこなうだけではなく、建築基準法にそって双方が納得できるように説明をするなど、土地に関する紛争解決のスペシャリストでもあるのです。

<筆界特定制度>

筆界とは、土地が登記された時に、その土地の範囲を定められた線であり、所有権の範囲でもあります。ご近所との土地のトラブルの際に用いられる「境界」という言葉とほとんど同じ意味ですが、もう少し公的な意味を持つ言葉です。

筆界特定制度は、隣の住民と話し合いで決めるものではなく、もともと決められていた範囲(筆界)を公的な判断で明らかにし、土地の筆界をめぐる紛争トラブルをできるだけ早く解決する目的で作られた制度です。

昔は、土地の筆界をめぐるトラブルは、裁判で解決するしか方法はありませんでした。

しかし、平成18年1月に筆界特定制度がはじまり、「うちの土地なのにはみ出して使っている…」というような土地にまつわるトラブルの解決はもちろん、これから土地を売却する方や、増改築で塀や垣根を作るからトラブルが起きる前に、改めて筆界を明らかにしたいという方もよく利用されています。

3、家を新築した!土地家屋調査士に何をどう依頼する?

土地家屋調査士は、土地に関する物理的な状況を調査するなど、いろいろな業務をおこなっています。ここでは特に、これから家を建てる方や、新築一戸建てを購入される方に向けて、新築時に土地家屋調査士がどのように関わってくるかについて詳しくご紹介していきましょう。

(1)新築の家が完成したら表示登記をしよう!

https://www.photo-ac.com/main/detail/353237?title

建物ができたら必ずしなければならないのが「建物表示(表題)登記」です。

建物表示登記は、その建物の所有者が、建物完成後1ヶ月以内に申請することになっています。

また、注文住宅に限らず、建売の新築一戸建ての家の場合でも、買主が表示登記をするのが一般的です。

建売住宅の場合は、未登記のまま販売する業者が多いからです。建売一戸建ての家の場合も、所有者がまだ登記をしていない場合は購入者(新たな所有者)が所有権を取得した日から1ヶ月以内に申請しなければならないことになっています。

この、表示登記の登記申請業務を行うのが土地家屋調査士です。

物件が引き渡されてからたった1ヶ月以内に申請を行わなければならないので、引越しや、諸手続きなどで忙しいでしょうが、忘れずに速やかに土地家屋調査士に依頼し申請手続きをしてもらうようにしましょう。

(2)まずは土地家屋調査士探しと登記申請の依頼をしよう!

建物完成後、1ヶ月以内に表示登記の申請をしなければなりませんので、速やかに手続きできるよう、依頼する土地家屋調査士を探しておきましょう。

知人や友人に土地家屋調査士がいれば安心して依頼できますが、もしもいない場合には、不動産業者や工務店、司法書士に紹介してもらうと良いでしょう。

依頼する土地家屋調査士が見つかったら、申請業務を依頼するにあたり、どのくらい費用がかかるか、見積もりをしてもらいます。その際に建築確認済証があると見積もりを建ててもらいやすいので準備しておきましょう。

登記申請の費用については、実際に現地に行ってみないと見積もりが出せないと言われる可能性があります。

素人にはわかりづらい土地や家屋の測量業務があり、土地の広さや場所によって測量の難易度も変わりますから、口頭では判断が難しいところです。

ただし、一般的に相場は30万円〜100万円とされており、最多価格帯は30万円程度ですので、大まかな費用だけ聞いて妥当だと判断すればできるだけ早めに依頼しましょう。

依頼先の選び方に不安がある場合は、家の施工を依頼した工務店、土地の仲介をしてくれた不動産会社、権利関係の登記を依頼する予定の司法書士(住宅ローン融資の際にお世話になった司法書士)、知人や友人からの紹介などの中から信頼でき、相性の合いそうな土地家屋調査士を絞り込んでいくと良いでしょう。

(3)土地家屋調査士が法務局で資料調査をおこなう

正式に土地家屋調査士に申請業務を依頼することが決まったら、法務局に申請するために必要な資料を作ってもらいます。敷地の特定、現地調査、建物の測量をし、建物図面、各階平面図などの作成が終わったら、いよいよ法務局へ表示登記の申請してもらいます。

(4)資料を土地家屋調査士に渡す

登記申請がスムーズに運ぶように、建築確認済証など、登記に必要な書類を整理して、土地家屋調査士に預けましょう。

<表示登記に必要な書類>

  • 住民票
  • 印鑑証明書
  • 建築確認済証
  • 検査済証
  • 建物の図面
  • 申請人から土地家屋調査士への委任状
  • 現地調査報告書(土地家屋調査士が準備する書類)

法務局に申請して約10日前後で申請が完了します。

(5)表示登記ができたら司法書士へバトンタッチ!

表示登記ができたら登記完了証を受領します。これ以降は、権利関係の登記(保存登記)を行うため、土地家屋調査士から司法書士に依頼先が変わります。

無事に保存登記が完了し、不動産登記済証を受け取ったら、費用を土地家屋調査士と司法書士に支払い、登記手続きは全て終了です。

まとめ

いかがでしたか。今回は不動産の価値を調査する専門家「土地家屋調査士」についてご紹介しました。

不動産の売買取引を行う際には、売主さん、不動産会社の担当者、銀行の担当者、施工を依頼する工務店、不動産登記簿の権利関係を扱う司法書士など、いろいろな人と関わりますが、それ以外にも不動産そのものの物理的な状況を見てその土地や家屋の価値を判断する土地家屋調査士という不動産に関する専門家も深く関わってきます。

また、新築時だけではなく、将来的に家の建て替えをする場合や売却することになった場合にも、新築時に依頼した土地家屋調査士に依頼すれば、隣人との土地の境界の確認がスムーズにできますし、その土地と家屋の価値を早く、正確に知ることができるので、迅速に次の行動にうつることができますよ。

これから家と土地を購入されるご予定の方は、家の購入時の手続きの流れの中で、どこで土地家屋調査士と関わるのか、ぜひ覚えておきましょう。今回の記事がマイホーム購入のご参考になれば幸いです。

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