近年、都市部で人気が集まっている住宅が「狭小住宅」です。特にこれから一戸建てのマイホームを買う予定の人は、狭小住宅についての正確な知識がないと、後ほど後悔してしまうかもしれません。この記事では狭小住宅のメリットと注意点、間取りのポイント、有効活用のアイデアについてお伝えしていきます。
狭小住宅のメリットと注意点
狭小住宅というと、狭くて小さい住宅というイメージを受けますが、実際にはどういった住宅を指すのでしょうか。ここからは狭小住宅のメリットと注意点について確認していきましょう。
狭小住宅とは
狭小住宅とは、10~20坪ほどの狭小な敷地に建てられた住宅のことで、明確な定義はありません。狭小住宅のほとんどが都市部に集中しています。狭小住宅が人気である理由は、地価が高い地域でも低価格で入手できるためです。
狭小住宅のメリット
狭小住宅のメリットはなんでしょうか。まず、土地のスペースが小さくて済むことから、土地代が安く済むので、都心部に家を購入できる点が挙げられます。また、土地や建物の規模に応じて設定されている固定資産税や都市計画税といった税金を抑えられるのもメリットです。住宅の規模が小さいのでメンテナンスが楽であり、リフォームの必要が出た際もリフォーム代が安く済みます。
狭小住宅の注意点
・狭い
狭小住宅の注意点としては、やはり住んでいて窮屈に感じることがある点です。広々とした住宅に住みたいという希望を持った人には不向きの住宅といえます。
・隣の家が近い
狭小住宅は、土地の面積が少ないので、自然に隣の家との距離が近くなります。このため防音の工夫が求められます。また、窓を不透明のものにするなど、プライバシー対策も必要です。
・建築費が高くなりやすい
狭小住宅は、建築費が高くなりやすい傾向があります。小さな住宅を少しでも広く使う工夫が求められるため、建築工事が難しいケースもあります。
・強度を上げる必要がある
狭小住宅は、居住空間を確保するために縦に空間を取っていくことが多いです。家が地面に接する面積に対して高く造られた家は、揺れを感じやすいため、地震に対して強度を上げる必要性が出てきます。
狭小住宅で快適に暮らす間取りのポイント
ここまでは狭小住宅のメリットと注意点について確認してきました。それでは、実際に狭小住宅を建てる場合、どのような間取りにすれば良いのでしょうか。ここからは狭小住宅で快適に暮らすためのポイントについて一つ一つ確認していきましょう。
部屋同士を細かく仕切らない
狭小住宅では、部屋同士を細かく仕切らないことが大切です。部屋同士をつなぐと広い空間ができます。壁で部屋を区切らないため、家全体の空間がゆるやかになります。
暮らしやすい動線を意識する
実際に生活する上での導線を意識しましょう。水まわりなどはフロアを分けないこと、キッチンと洗面、バスルームを隣接させるなど、暮らしやすい動線の確保に努める必要があります。
デッドスペースを減らす
狭小住宅ではデッドスペースの活用が家を広く使うコツです。階段下のトイレなど、もともと狭い住宅を有効活用する工夫が求められます。
地下室を造る
地下室を作るのも、暮らしやすい狭小住宅の間取りを考える上で有効なアイデアです。ただしドライエリアを設けて外気を取り込んだり、避難経路を確保したりといった対策をとる必要があります。
狭小住宅を有効活用するアイデア
構造上、広い生活空間が確保しにくい狭小住宅は、限られたスペースを有効活用するアイデアが求められます。ここからは狭小住宅を有効活用するアイデアを具体的に確認していきましょう。
吹き抜けを活用する
吹き抜けを活用することは、天井に開放感を出すことができるので非常に有効です。東西に長い家の場合は、吹き抜けを採用することで日当たりを確保できるメリットがあります。ただし、吹き抜けの場合は、広い空間を温めたり冷やしたりするための光熱費がかかるといったデメリットも存在します。メリットとデメリットを事前に理解しておきましょう。
間仕切りを工夫する
間仕切りを可動式のスライド扉にすると、開け放った際に広い空間を確保することができます。仕切りを「透明・半透明」の素材にすると圧迫感がなくなり、採光の面でもメリットかあります。
屋上スペースを利用する
住宅で利用できるスペースは、屋内だけではありません。屋上スペースを利用することで、視線を遮るものがなく開放感を得られます。外壁を設置することで、プライバシーを保つこともできます。
ドアを高くする
ドアを高くすることも有効なアイデアです。ドアを高くすると開放感が出るほか、見通せる範囲が広くなります。天井高サイズのフルハイトドアなども検討してみても良いかもしれません。
造作家具を設置する
造作家具を設置することも、生活のスペースを作る上で有効です。造作家具とは規制の家具ではなく、それぞれの住宅の目的やサイズに合わせて作られた家具を指します。造作家具の具体的な事例としては、壁面に設置された本棚、キッチンの背面収納、収納できるベッドやロフト構造のベッドなどが挙げられます。
このように、造作家具であれば既製品ではなかなか対応できないニーズに対応することができます。また、造作家具を活用することで、収納性とインテリア性が上がる効果が期待できます。
気になるのがやはり費用面ですが、造作家具だからといって一律に高いわけではありません。例えば足場板を使ったシンプルな棚などは収納性とインテリア性があり、かつ材料費や施工費を安く抑えることができます。
ちょっとした造作家具で暮らしやすさを向上させたり、遊び心を加えたりすることができるので、設計の段階で積極的に相談してみましょう。
狭小住宅でも工夫とアイデアによって快適な住宅になる
住宅の大きさは大きければ大きいほど良いというものではありません。大きな家の場合は、掃除やメンテナンス、庭の手入れといった問題があります。記事内でも述べた通り、小さな家の場合はメンテナンスやリフォーム面で便利ですが、生活空間やプライベートの問題があります。
各家庭には各家庭のライフスタイルがあり、それぞれの家庭に必要となる家の設備や機能も異なります。
都市部で一戸建てを持ちたいという希望がある場合、狭小住宅は有力な選択肢のひとつです。今回の記事内容が、狭小住宅を検討する上での参考になれば幸いです。