このところ不動産のカウンターで、お客様の相談を受けていると、住宅購入の際「新築」だけでなく、中古物件も視野に入れる方が増えているなあと思うようになりました。これも時代の流れでしょうか。
中古一戸建てと新築一戸建て、同じ条件ならばもちろん新築の方が良いでしょうが、目先のことにとらわれず立地その他含めて考えた時、将来資産価値があるのはどちらか、などもしっかり検討し購入を決めたいところです。
ここでは新築と中古の一戸建てを比較し、双方のメリット・デメリットを西武開発の営業担当からこっそりとお伝えしていきます。
1、新築一戸建てを購入する際のメリット・デメリット
家を購入しよう! と決めると大体の方は住宅展示場やモデルルームに足を運ぶ事と思います。
各メーカーの営業マンたちはこぞって「新築であることのメリット」を税制面や機能性、安全性から説明してくれる事と思いますが、デメリットについてはあまり説明がないことと思います。
そこでここでは新築一戸建てを購入する際のメリットとデメリットをお伝えしましょう。
(1)新築一戸建てのメリット
新築である事で得られる税制面のメリットや誰も入居していない気持ちよさ、など確かにあります。また、モデルルームの設備や家具等の美しさに目を奪われ「やはり買うなら新築に限る!」と思われるかもしれません。
そこでまずは新築であることの大きなメリットを2つご紹介しましょう。
①新築である事のメリット1〜購入時の税制優遇が大きい〜
まず1つ目としてあげられるのは購入時の税制優遇が大きいことでしょう。
住宅を購入する際、様々な税金が諸経費に含まれています。ですが住宅は日本国民の生活基盤なので、様々な優遇税制が設けられています。
特に新築住宅は中古よりも手厚い優遇措置を設けられているのが現状です。
例えば、新築には以下の様な優遇があります。
- 固定資産税(固定資産評価額×1.4%)の軽減
新築:戸建ては3年、マンションは5年、建物分の固定資産税が半額
中古:軽減措置はなし
- 登録免許税の軽減
新築:建物分の固定資産評価額×0.15%
中古:建物分の固定資産評価額×0.3%
- 不動産取得税の軽減
新築:建物分の課税標準額(固定資産評価額)から1200万円が控除
中古:築年数によって控除額が減額される
※ただし、以上の中古に対する優遇はすべて築20年以内、もしくは新耐震基準に適合することを証明できる建物に限られています。
*参考:住宅を購入・所有した場合の税制優遇制度
参考:All About「家や土地にかかわる税金」
https://allabout.co.jp/gm/gc/395102/
②新築である事のメリット2〜誰も入居していないことの気持ちよさ〜
新築であることのメリットは誰も入居していないまっさらな状態であること、であるとも言えます。
現に「新築一戸建て」にかたなくななまでにこだわり中古一戸建てを避ける大きな要因は、誰かが長年住んでいた住宅へのネガティブなイメージと、バスルームやトイレ、キッチンなどの水回りの劣化に対する生理的な拒否感によるものです。
ですが、例えばリフォームやリノベーションをしさえすれば、新築一戸建て以上の広いバスルームや機能性の高いキッチン、広々としたリビングへと作り替えることも可能なのです。
新築と中古を比較する場合、最新の設備を新築の魅力であるとしてアピールする事が多いのですが、新しい設備だけを理由に新築一戸建てを選択するのは実にもったいない話です。
もちろん全て新品である新築一戸建てに惹かれる気持ちは十分わかりますが、中古一戸建ての内装・設備はすべてまっさらに交換・更新が出来るのであることを考えるならば、中古一戸建てを選択肢から外す理由はないでしょう。
(2)あまり語られていない新築一戸建てのデメリット
HOME’S総研所長である島原万丈氏はこのように言っています。
住宅は、スケルトンと言われる構造躯体に、インフィルと呼ばれる内装部分が挿入されて住空間が出来ている。そして重要なのは、マンションでも一戸建てでも、古くなって汚れや老朽化が目立つインフィルは全て刷新することが出来るということである。それを実現する技術が、最近注目されているリノベーションである。
下の写真が、中古マンションをスケルトンまで解体し、そこに新しいインフィルを作りなおしたリノベーションの典型的事例である。
構造躯体は中古だが、身体に触れる可能性のある部分は全て新品だ。キッチンやバスルームなどの設備機器は全て、住まい手のニーズに合わせて選ばれる。施主のオーダーメイドで作られるリノベーションでは、平均的な新築分譲住宅では望むべくもないような高級な設備が奢られることも珍しくない。
そもそも設備機器メーカーにとって最も利益率が高い上位モデルの新製品が、価格を抑えるために大量仕入れされる新築分譲住宅に採用されることはない。高付加価値型の製品は、注文住宅やリフォームの市場を意識して開発されているのだ。億ションのような超高額物件ならいざ知らず、そこそこの価格の物件には、そこそこのグレードの設備しか入らないと知るべきである。
繰り返しになるが、中古住宅のインフィルは全て取り替えが出来る。例えば、築30年の中古マンションに住む年収500万円の独身の若者が、億ションに住む億万長者よりも広く豪華なバスルームを手に入れることも可能なのだ。お料理が好きなら、予算と面積を思い切ってキッチンに振り分けることも出来る。
出典:設備は新築住宅のメリットではない
http://www.homes.co.jp/cont/press/opinion/opinion_00031/
出典:株式会社ブルースタジオ
http://www.bluestudio.jp/
またこうも言っています。
インフィル部分は全てリノベーションで新築以上の品質に作り変えることが出来る。それでもあえて新築を買うのであれば、中古住宅に対して建築的なアドバンテージが大きい建物を選んだほうがいい。肝心のスケルトン部分が10年前・20年前の建物と同じレベルの性能ならば、わざわざ新築を買う理由はないと私は思う。
建物性能をよく吟味することなく新築であるというだけで「中古よりも良いもの」と思い込む。モデルルームやモデルハウスの内装やインテリア、設備機器など、後からリフォームすればいくらでも更新できるインフィルに目を奪われる。そういう消費者は実に多い。
メディアによって盛られた新築メリットを鵜呑みにして家選びをしていると、新築である必要がない建物を買ってしまうリスクがあることを、住宅購入者は知っておかなければならない。
出典:設備は新築住宅のメリットではない
http://www.homes.co.jp/cont/press/opinion/opinion_00031/
では実際、中古一戸建てと新築一戸建ての購入費用がどのくらい違うのか比較してみましょう。
2、中古一戸建てと新築一戸建て住宅の購入費用
新築の戸建て(建売)と中古戸建を比較してみると、新築の建売住宅は3320万円の価格ですが、中古戸建は2224万円の価格が平均値となっています。これは新築の67%の価格となります。
購入価格は、中古住宅にすれば新築の3分の2の価格で購入できるメリットがあります。
3、中古一戸建てにした場合のリフォーム、リノベーション費用
ここでは予算に応じてどのくらいのリフォームリノベーションができるのか、各価格帯の施行例をご紹介します。
(1)費用500~600万円
この価格帯は、建物をスケルトン状態にし、間取りの大半を変更するのに加え、給排水管などの工事もあわせて行う場合になります。
例えば、一戸建てにおいて、子どもが独立し、1階を主人の部屋に、2階を奥様の部屋にしたいと考えていたとします。このとき、浴室・洗面・トイレは3点式ユニットでしたが、水管の工事を行い、それぞれ独立させ広くすることができます。さらに、和室を洋室にし、それぞれの部屋で好みのクロスに張り替え、あわせて、キッチンやトイレを最新式にすることができます。
念願の明るい対面型キッチンへリフォーム
家族一緒の時間を大切に過ごせる住まいに、リノベーション。
キッチンは会話しながら料理ができる対面式で、リビングには堀ごたつで家族そろっての食事を楽しめるように、仕上げました。
リフォーム金額:578万円
戸建て築年数:10年
出典:LOHAS Studio施行例
http://www.okuta.com/renovation/5million-10million.html
(2)費用800~1000万円
この価格帯は、一戸建てであれば、キッチンの配置変更(水管工事も含む)などを含む間取りの変更に加え、耐震補強や外壁のリノベーションなども行い、マンションであれば機能性だけではなくデザインへのこだわりを一層追及したい場合になります。
例えば、一戸建てにおいて、間取りを変更するのみではなく、外壁の劣化を解消したいと考えていたとします。このとき、間取りを変更して、外部はサッシを全て取り替え、結露、及び、騒音の対策をすることができます。さらに、外壁を遮熱効果のある塗り壁に、屋根を耐久性の高い天然の石がまぶしてあるガルバリウム鋼板の金属屋根に変更することができます。
みんなに優しいLDK
自然素材ならではのやさしい雰囲気の空間に、リノベーション。
段差ゼロのバリアフリー設計にし、永く住まうことのできる邸宅に。また、無垢フローリングを使用し、全体的なデザインの統一感がでるように仕上げました。
リフォーム金額:940万円
出典:LOHAS Studio施行例
http://www.okuta.com/renovation/5million-10million.html
3、中古一戸建てを購入するメリット
それではここから中古一戸建てを購入するメリットを資産価値や立地、広さなどの面から見ていきましょう。
(1)中古一戸建ての方が資産価値がある
資産価値がある家とはどんな家なのでしょうか? わたしたちはついつい設備や性能に目をやってしまいがちですが、住んでしまえばどんどん建物の価値はなくなっていきます。
ではいったいどんな家が資産価値が減りにくいのでしょう? 資産価値が減りにくい家とは「資産性の高い土地」に立てられている立地条件の良い家のことを言います。
多くの人が必要とする資産性の高い土地の条件は就業人口が多い都市の中心部です。逆に就業人口が少ない都心部から離れたニュータウンなどの土地は資産性が低い、ということになります。
新築の一戸建ては都市の中心部で分譲されることはとても少ないのが現状です。逆に中古一戸建ては都市の中心部でも売りに出されることがあるため、資産価値が高い家を持つ事ができます。
(2)希望の広さ、間取りの家を手に入れられる
首都圏で2013年7月~2014年6月に売り出された一戸建ての平均建物面積は、新築が96.5㎡なのに対し、中古は113.2㎡と広め(※)。下のグラフのように、新築は建物面積90㎡~110㎡の物件が主流なのに対し、中古はさまざまな広さの物件が売り出され、130㎡以上の広い物件も多く見られるからだ。
出典:東日本不動産流通機構「月例マーケットウオッチ2014年6月度」
出典:SUUMO
http://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/hikaku/141105_1
(3)すぐに住める
中古の場合は家が既にあります。中古一戸建てはリフォーム済みなので、大きなリノベーション等予定していなければ契約後すぐに住み始めることができます。
(4)実際に風通しや日当りなどを確認できる
新築一戸建ての場合、実際に建ってからしか確認できない実際の日当りなども、中古一戸建ての場合家が既にあるので、日当りや風通しなどを確認することができ、生活イメージをつかむことができます。
(5)住みたい街に住める
人気の高いエリアなどは既にマンションなどが立ち並び、新しく家を建てることはとても難しいことです。ですが中古一戸建ての場合は、売りに出されるケースもあるので運良く売りに出されれば「住みたい!」 と思っていた街に住むこともできそうです。
(6)リノベーションをすれば新築一戸建てより安く高機能の家に住める
壁紙やフローリングなどのリフォームだけでなく、断熱代を入れたりなどすれば新築一戸建てよりも機能的な家に安く住む事ができます。
4、中古一戸建ての効率的な物件の探し方
それではここからやっと中古一戸建て物件の効果的な探し方についてお伝えしていきます。
(1)何よりも大切なのは営業担当者選び
新築一戸建ての場合、不動産業者によって持っている情報が違っている場合があります。しかし中古一戸建ての場合、不動産業者間の情報交換システム(レインズ)で共有されているため、どの不動産業者でも同じ情報を得ることができます。
だからこそ営業担当者選びは何より大切です。物件の良い所も悪い所も適切に伝えてくれ、売り主様との交渉もしっかりできる人である必要があります。
いい物件ないかな? と色んな不動産屋さんをたくさん回るより、一人の信頼できる営業担当者を見つけることで物件探しはとてもスムーズになります。
そこで良い営業担当者を見わけるのに役立つポイントをお伝えしましょう。
①物件のプラス面だけを伝えるのではなく、マイナス面も適切に伝えてくれる
不動産業者にとってとても大切なことは、良い部分も悪い部分も客観的にありのまま事実として正しく伝えることです。
ただただ良い面を伝えるのではなく、マイナス面もしっかり伝えてくれる信頼できる営業担当者を選びましょう。
②お客様を急かさない
「早々に決断していただかないと明日内見があるので決まってしまうかも……」とお客様を急かす営業担当者も結構います。
中古一戸建ては大きな買い物ですから、じっくりと腰を据え条件にあった物件を一緒に探してくれる営業担当者を選びたいものです。
③口コミ、評判などを参考にする
多くの方は何か購入する際、その口コミなどを調べて購入にいたると思います。不動産も同じく、口コミや評判などのリアルな感想を参考にするのはとても役に立ちますし、中には担当者の名前を出している場合もあるので大いに参考になります。
④レスポンスが早い
電話の応対が気持ちよい、レスポンスが早い、という事も大きなポイントです。すぐに回答できる状態でなくとも「なるべく早く回答します! 」と返答をするなど、出来るだけ素早く対応したい、という姿勢を見せてくれる営業担当者だと信頼できそうです。
5、まとめ
「中古一戸建て|新築と比較した特徴と効率的な物件の探し方」いかがでしたでしょうか?
新築しかダメ! と今まで思われていた方の選択肢がこの記事によって増えたら幸いです。
あなたとご家族の大切なマイホーム、ぜひしっかり「自分にとってどっちが合うのか」見極め、「これだ! 」という物件と出逢えますように。