憧れのマイホームを購入し、ようやく入居したにもかかわらず、いざ住んでみると、思っていた以上に住みづらく、購入を後悔したという人も意外とおられます。
「せっかく自分の家を買ったのに……」と後悔するなんて、悲しすぎますよね。
そこで今回は、不動産のプロである西武開発の営業担当が、一戸建ての購入でよくある失敗事例を一戸建て購入から入居までの流れに沿ってご紹介します。
1、土地購入時の失敗
一戸建てといっても建売住宅と呼ばれるすでに家が建っている一戸建てもあれば、土地の購入や家の間取りプランから検討する注文住宅もあります。
どちらもそれぞれにメリットとデメリットはありますが、ここでは特に注文住宅で土地の購入から検討されている方向けによくある失敗談と対策についてご紹介します。
(1)簡単に買い換えられない土地の購入は家よりも慎重に!
一戸建てを購入するというと、どうしても家の外観や内装、設備面に目が行ってしまいます。
しかし、私達不動産屋からすると、土地を購入されてそこに家を建てる予定であれば、重要なのは家よりもむしろ土地です。
理由は簡単。「土地は簡単に直せない」からです。
家の場合は、不具合があれば修理できますし、騒音が気になれば防音仕様で多少の改善が見込めます。また、間取りの変更、リフォームなども将来的に可能です。
しかし、土地はそう簡単に買い換えることは難しいのです。ですから、土地を買ってから、後悔しないようにしっかり選ばなければなりません。
(2)土地購入前にやっておくべき5つのこと
土地購入前に必ずやっておきたいのが以下の5点です。
- 業者を探す
- 土地の相場を調べる
- 土地の地盤を調べる
- 用途地域の確認
- 資金面の再確認
大手のハウスメーカーに土地探しから物件の引き渡しまでトータルで依頼するのであれば、ハウスメーカーの担当者に相談しながら探すのがベストです。他にも、地元の工務店や建築事務所、不動産会社で土地だけを購入するケースもあります。
理想の大きさの家を建てるには、どのくらいの土地が必要となるのか建ぺい率を調べて、なおかつ予算をオーバーしないように土地探しをしましょう。
初めて土地を購入される方は、用途地域の区分や地盤のチェックまで手が回らず、購入してから後悔される方がとても多いです。
用途地域は、住居専用地域、工業地域、準工業地域、商業地域など12種類に分かれています。閑静な住宅街が好みなのに、準工業地域を選んでしまい、平日は騒音に悩まされるなどの失敗もよくあります。
そんなことにならぬよう、土地選びはプロである不動産会社に頼んでしまうのも手です。
また、高級住宅街と言われている地域でも、実は昔、湿地帯だったので地盤が緩く、震災で家が全壊したというような土地もあります。
災害時に万が一のことがないように、各自治体の防災マップをチェックし、地盤沈下、浸水などの被害があった地域がどうか調べておきましょう。
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
全国の自治体から集めたハザードマップを一望できます。これで気になる土地をチェックしておくと安心ですね。
(3)人気の角地!実はデメリットも多い?
一戸建てでもマンションでも角地、角部屋は価格も高く人気ですが、メリットばかりとは限りません。
一戸建ての場合は、車の事故で壁が破壊されやすい、固定資産税が高くなる、外から家の様子を見られやすい、交通量が多いと騒音に悩まされる可能性がある、などのデメリットがあります。
また、一戸建ての場合、所有する土地に対する道路の接面積が決められています。角地でさらに接する道路がない場合、2メートル幅の道路を引く必要があるので、注意しましょう。
もしも外構工事で損壊対策をしておくと車の接触事故が起こっても多少は安心ですが、その分トータルコストが高くなります。
また、角地の一戸建ては、道路に接する面が2つあるので、固定資産税が少し高くなりますので、覚えておきましょう。
2、建売一戸建ての構造面での失敗
注文住宅の場合、工法から決めたり、使う資材を決めたりと、構造についてもある程度の希望を伝えることができますし、建築中の建物を見に行くこともできます。
しかし、建売の一戸建ての場合、すでに家が出来上がっているので、建て方や施工会社、間取りや標準設備を選ぶ余地がありません。
また、万が一、業者に手抜き工事などをされていても、すでに建物は出来上がっているので、素人にはわからないという不安もあります。
ただ、建売住宅は注文住宅よりも比較的お手頃に一戸建てを購入できるので、限られた予算の中で一戸建てが欲しい方にはおすすめです。
このような場合には、売買契約の前に「住宅診断(住宅検査)」をおこなうことをお勧めします。住宅診断とは、家の構造面で不具合がないか、設計図通りに資材が使われているかなどを専門家に第三者的な立場で建築士に診断してもらうことを言います。
住んでいるうちに床に歪みが出てきたなどの不具合があってからでは遅いです。別途費用はかかりますが、安心して住まいを購入するために利用してみても良いのではないでしょうか。
3、一戸建ての内装や設備についての失敗
土地や構造に関する後悔は、災害時や築年数を経なければ実感できないことも多いですが、家の内装に関する後悔は、入居して数日で実感するものです。後悔しないためにも以下の5点に注意しましょう。
(1)配線の失敗
コンセントの数が少ない、スイッチの位置が悪いなど配線に関する後悔もよくあります。
「子供部屋にコンセントはそんなにいらないだろうと思ったら、成長してから必要になった」
「スイッチの場所を考えていなかった」
「いざインターネットをひこうと思ったら、配線が不便過ぎた」
などなど。
ですので、どの部屋でどのように過ごすのかよくイメージしてみましょう。必要に応じて施工会社に相談し、スイッチやコンセントの位置を変更してもらうようにしましょう。
(2)収納スペースの失敗
収納スペースに不満があり、結局家具を購入したという話もよく聞きます。
「家族の人数分、収納は必要だった」
「クリスマスツリーやお雛様など、季節に応じたものの収納を考えていなかった」
というケースもあれば、
「事前にしっかりと立て付け収納を作ったら、部屋が殺風景になりすぎた。ほどほどの家具は癒しなのだと思いました」
というケースも。
間取りプランを決めるときには、収納の広さだけでなく、使い勝手や出し入れのしやすさもチェックしておくと便利です。
(3)トイレの数や配置で失敗
トイレの配置や数で後悔するケースもあります。水回りが増えればその分掃除の負担も増えてしまうのですが、数が少なすぎても困りものです。
「3階に寝室を設定したのに、トイレは1階だけ。夜中にトイレにいくだけで目が覚めてしまった」
というケースも。お子さんをお持ちの方は、なるべく各フロアにトイレがあったほうが良いようです。
(4)生活動線の失敗
生活動線とは、日常生活を送る上で家の中の人がそれぞれどのような動きをしているかを線で表したものです。
例えば、起きてから洗顔、食事、トイレ、身支度を整え、玄関を出て行く。これを考えただけでも、家の中でどう動くかがわかりますよね。
基本的には、一日の中で最も家事をする時間が長い奥様を中心に考えた間取りにすることが多いようです。
生活動線を考えた間取りの失敗でよくある例は、おしゃれな間取りにこだわってしまい、「同じ廊下を行ったり来たりしていることが多い」、「二階の滞在時間が極端に少ない」など偏った間取りになってしまったケースです。
このような間取りですと、お子さんがいらっしゃるご家庭では、お子さんとのコミュニケーションが減ってしまうかもしれません。他に、ドアの内開き・外開きをあまり考えず、「トイレのドアを開けたら寝室のドアを塞ぐ形になってしまった」というケースも。
内装や外観よりも使い勝手の良さを重視して家の中を満遍なく回遊できるような家にしましょう。
4、周辺環境に関する失敗や後悔
(1)隣家との距離が近すぎて失敗
隣家との距離が近いと、間取りによってはトイレや浴室に入りづらい、視線が気になる、お隣のリビングに面して我が家の寝室があるので睡眠がうまく取れない、などの問題が出てくることがあります。
せっかく購入した土地ですから、近隣の方とうまくやっていくためにも、設計段階で自分の土地の周りの様子をチェックし、近隣の騒音や視線が気にならない構造にしましょう。
(2)騒音の失敗
一戸建てに限らず、家を購入される場合には、よく「曜日、時間を変えて内覧に行くこと」ということをお勧めしています。
マイホームの購入となると、どうしても浮き足立ってしまい、慎重な判断ができない方も多いです。購入した後に「こんなはずじゃなかったのに……」と後悔されることも多いのです。
「いつも見学に行く日は日曜日だったので、平日に近所の工場であんなに騒音がするなんて知らなかった」
「重要事項説明はされたけれど、空港が近く飛行機がこんなに飛ぶとは思ってもみなかった」
「ご近所の方と雰囲気や世代が違うので、うまくやっていけそうにない」
「昼間は人通りが多いのに、夜間は少なく、外灯もない」
など、数回見に行ったときには感じられなかった周辺環境のギャップというものが、時間帯や曜日を少しずらすだけで、かなり見えてきますので、「曜日、時間帯、天候」を変えて何度も見学に行くようにしましょう。
5、まとめ
いかがでしたか。今回は一戸建て購入で失敗や後悔をしないために、よくある失敗例とその対策をご紹介しました。
家は、一生に一度の高い買い物です。後悔しないように、しっかりご家族で話し合い、何度もチェックして、理想の住まいを実現しましょう。今回の記事が一戸建てを購入されるご予定の方のご参考になれば幸いです。