「広い家で快適に暮らしたい!」とマイホームを建てるときには思うものですよね。しかし、限られた面積では思ったようにできないことも。そんな願いを持つ人に注目されているのが地下室です。地下室を作ることで自由な空間がもう一つ増えると、ニーズが高まっています。
「広くなるのはわかるけれど、実際の使い心地は?」
「費用がかさむんじゃないの?」
などなど、取り入れた方がいいかどうか迷っている方も多いかもしれません。
そこで今回は、地下室のメリット・デメリット、使い方事例、費用などを紹介していきます。
1、地下室のメリットとデメリットを知ろう!
海外では一般住宅で地下室があることは珍しくありませんが、日本では地下室のある住宅はまだ少ないため、メリットやデメリットが分かりにくいかもしれません。海外と日本の気候差も懸念のひとつでしょう。
ここでは、一般的な地下室のメリットやデメリットを紹介します。
(1)地下室のメリットについて
理想的な家づくりを考えている人にとって気になる地下室のメリットについて、いくつか紹介していきます。
①限られた土地を有効活用できる
都市部などでは、狭い面積を有効的に使った狭小住宅が見られることが多くなってきました。ただ、それでも面積の狭さを感じてしまうことでしょう。そこで、さらに地面の下を活用することで、少しでも居住空間が広く使えるメリットがあります。
②温度が安定している
地下室と聞くと「暗いんじゃないか……」、そんなマイナスイメージを持たれることが多いですよね。しかし、そのマイナス的なイメージも考え方次第ではメリットになります。
太陽の光が当たることがないので、夏には涼しい環境となります。地下室内の気温は、外気に左右されにくいので年間を通して安定していて快適です。
③防音性が高い部屋になる
地上と違って、周りを土壌に囲まれている地下室は、部屋の中の音は「土」が吸収してくれます。地下室は、吸音性のある遮音効果が高い部屋なので、周りを気にしない使い方も可能な空間となるのが魅力です。
④プライベート空間に自由な使い方ができる
「周りを気にせずのびのびとくつろぎたい」マイホームを購入するときにそんな夢を持つ方もいるのではないでしょうか。そんな方に、ゆっくりとしたプライベート空間として好まれているのが地下室です。
隣に部屋がなく、周囲を土に囲まれている『独立した空間』である地下室。隣の部屋に音が漏れるという心配もなく、たくさんの使い道ができるのも魅力です。
⑤地震に強い部屋
地下室があるため、その建物の一番下部分が地面下の深くに埋まります。一般的には地表から深くなるほど地盤は強固となります。地下室が設けられることで、基礎が深くにある状態となり地震の揺れの影響があまりなく安定しやすくなるのです。
(2)地下室のデメリットについて
とても魅力的なメリットがありますが、デメリットも知っておく必要があります。
①結露というリスクがつきもの
地面中にある部屋なので「土中」に含まれる湿気がこもってしまいます。窓があって外気との入れ替えができるわけではないので、結露がしやすいデメリットがあります。
②工事費用が高い
地上への建築と違って、工事にはさまざまな工程がプラスされます。地下室を作る前に、土壌の地盤の強度について確認する「土壌調査」も必要になります。さらに、穴を掘る「掘削工事」、掘った周辺の土が崩れてこない措置をする「山留め工事」など、地下室ならではの工事も必須のため工事費用は高くなってしまいます。
③暗くて狭い印象がある
地面より下にある地下室なので、基本的には陽があたることがありませんよね。「日当たりが悪い」のではなく「日当たりは皆無」なのです。そのためもあってか、周囲が土なので閉塞している暗いスペースという印象があるのが地下室です。
2、上手く利用して快適な住まいづくりを! 地下室事例あれこれ
地下室はたくさんの活用事例があります。プラスされた一部屋を上手に活用し、快適な住まいづくりをしたいものです。そこで、地下室の使い方事例をいくつか紹介していきます。
(1)収納の部屋
家族が増えるにつれて、家の中の物が多くなってしまうことはよくあること。ただ、収納スペースがなくなり物が溢れ、「もう一部屋収納部屋があったらな」と考えることもありますよね。地下室を収納の部屋にすることができます。家の中全体の収納力アップにも繋がる嬉しい空間です。
(2)自分だけのトレーニングルームに!
運動不足を気にしてトレーニングジムに通ったり、近所へジョギングに出かけたりする方もいるでしょう。ただ、仕事で忙しい、雨が降っている……など外に出かける足が遠のくことはよくあること。そこで、だんだん運動の機会が減ってしまうこともあります。
そんな方におすすめなのが、地下室にトレーニングルームを作ること。自分だけの空間なので、ちょっとした隙間時間で運動することができます。誰にも邪魔されないトレーニングルームで健康を維持できそうです。
(3)周囲を気にしなくても練習できる! 趣味の音楽活動が可能
ピアノやギターなど音楽活動の趣味があるときに困るのが練習場所。一般的な住宅では家族や近隣住宅へ配慮できずに、思いっきり練習できないものですよね。気兼ねなく練習したい場合には、音楽スタジオを借りて練習する方も多いでしょう。
そこで地下室を活用する方もいます。地下室は防音に優れている空間です。音楽を楽しむための防音設備を充実させた設計にすれば、地下室をプライベートな音楽活動の場にすることもできます。ギターやドラムなど、友人達と一緒にバンド活動を楽しむことだってできるのです。プライベートスタジオとして、夢の時間が過ごせます。
①走っても大きな声を出しても大丈夫! 子供の遊び部屋としての活用
地中にある部屋のため、周囲へ音が漏れにくい部屋です。近隣住宅への配慮から、戸建住宅であっても子供達を自由に遊ばせることができないことも多いです。子供たちが走ったりする音は結構周囲に響くものですよね。特に、都市部など隣家との距離が近いとなおさら悩みどころです。
しかし地下室なら、子供達が楽しく家の中で遊ぶことも可能。さらに地下にあるため、走り回ることで発生する振動が他の部屋に伝わることもありません。のびのび遊ぶ子供達の楽しそうな笑顔がこぼれそうですね。
②まるで映画館! 大音量で映画を楽しむ
せっかくの静かな空間なので、音響にこだわってシアタールームにするのも魅力的。大画面のスクリーンと大音量の音響があれば、まるで自分だけの映画館。充実したプライベートな時間になりそうですね。
③秘密の特訓もできる! カラオケルームでストレス発散
防音設備をしっかりと施せば、自分だけのカラオケルームになります。いつでも利用できるので、こっそり一人で歌の特訓もできます。また、ときには家族みんなでカラオケを楽しみコミュニケーションを深めることもできそうですね。
④静かな空間で書斎としての利用
地下室が持つ「静か」というメリットをそのまま利用する方法もあります。仕事や読書など、静かな空間で集中したいこともあるでしょう。周りの音を遮るようなそんな地下室なら、静寂に包まれ落ち着いた空間で仕事がはかどりそうです。
⑤アトリエとして利用、作品を並べておくことも
美術系の趣味を持っていると、作品を作るスペースには余裕が必要です。自分の部屋で絵を描いたり、作品を作ったりしていても、広げたままにしておくことができないものですよね。地下室をアトリエとして使用すれば、作成中のものであってもその都度片づける必要もありません。周囲に気兼ねなく、自分のアートに没頭できそうですね。
⑥貯蔵庫としての利用
地下室は、温度が安定しているメリットがあるので、それを活用して食品の貯蔵庫にしてみるのもいいでしょう。温度だけでなく湿度の調整が上手にできれば、貯蔵庫としての機能がグンとアップ。ワインセラーとして活用する方も多くなってきています。
3、費用はどのくらい?
地下室の活用方法はどれも魅力的なものばかり。自分の趣味のスペースにできるとあって、プライベートを充実させたい人には興味深いものです。ただ、工事費が高いと聞くこともあり気になるものですよね。
(1)一般的な地下室の工事内容
地下室の工事には大きな重機車両の出入りがあります。搬入の際に交通を誘導するガードマンの人件費も必要です。また、土を掘ることと、掘った土を処分する作業が必要となります。土壌状態によっては、高額な残土処分費がかかることもあります。
そして、土が崩れてこないようにする山留め工事、コンクリート工事、鉄筋工事、防水工事など一般的な住宅建築と比較すると多くの工程が必要になります。そのため、普通の住宅建築の工事費よりは高めとなってしまうのは、事前に把握しておく必要があります。
(2)地下室の工事費用はケースによって異なる
費用については一概に言えないのが現状です。工事をする住宅メーカーや土壌の質などによってケースバイケースと考えるのが一般的です。事前にしっかりと現地調査で見積りをとることが大事です。
(3)目安はどのくらい?
地下室の工事費用はケースバイケースではありますが、一般的な目安としては坪単価60~100万円前後と考えておくといいでしょう。5坪の地下室なら300~500万円、7坪の部屋なら420~700万円となります。あくまでも目安的な価格で、各住宅の工事内容や現場状況は異なるので、正式には現地調査が必要です。
(4)いくつかのタイプによって費用が異なる
地下室には、収納庫などにするため天井までの高さを1.4m以下にした「地下収納タイプ」、地下室の天井から約1m部分を地上に出した「半地下タイプ」、完全に地上に埋まっている「地下室タイプ」などいくつかのタイプがあります。完全に地下に埋まっているものより、半地下の方がコスト的には安くなります。
また、完全な地下室タイプでも、窓を設けるために外側にドライエリアを設けると湿気対策には最適ですが、コストが高くなってしまいます。
4、まとめ
いかがでしたか? 地下室にはたくさんの魅力的なポイントがありました。収納アップにも趣味の部屋としても大活躍です。紹介した以外でもさまざまな活用法があります。「地下室をどうやって活用する?」と家族みんなで考えながら家づくりをしていくのも楽しいものですよね。この記事が、快適な家づくりの手助けになれば幸いです。