人生の中で大きなイベントであるマイホーム作り。建て売りではなくこだわって建てる注文住宅だからこそ、建ててしまってから「しまった!」と思いたくないですよね。
ですが、実際に国土交通省が発表した住生活総合調査(http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000080.html)では、住宅・住環境に対する総合評価について以下のような結果が出ています。
- 満足 21.9%
- やや満足 55.3%
- 多少不満 18.9%
- 非常に不満 3.3%
- 不満 0.6%
折角建てるマイホーム。どうしたら「満足」と言えるマイホームづくりができるのか、ここでは実際に家を建てた人の失敗談を元に失敗しない注文住宅の頼み方をご紹介していきます。
■注文住宅でよくある失敗談
実際に注文住宅を建てた多くの人の失敗談としてよく出るのが、建物のプランを変更するたびに追加費用がかかって大変だったり、リビングを吹き抜けにしたり階段を設けたら冷暖房の効きが悪かったなどですが、他にも広さや間取り、収納や音など、もっとこうすればよかったなどたくさんありますのでまずはご紹介しましょう。
●設備・内装についての失敗例
- 家具の配置を考えずにコンセントの場所を決めてしまったので使えないコンセントがでてきてしまった
- リビングとダイニングに床暖房を設置したけれども、それぞれスイッチで切り替えられるようにすべきだった
- 階段が予想していたよりも急だった
- 階段と階段の間の隙間に子供が落ちそうでハラハラするので隙間のない階段にすればよかった
- リビングの隣に独立して和室を設けたけど結局使わないので、リビングと繋げればよかった
- リビングに階段を設けたため子供の友達が来るたびに散らかったリビングを通らなければならなくなったので恥ずかしい
- シングルガラスにしたら結露がひどい。二重サッシにすればよかった
- 採光を多くとろうと窓をたくさんつけたら家具の配置が難しくなった
- オール電化にしたけどやっぱりキッチンはガスコンロにすべきだった
●広さについての失敗例
- 寝るだけ、と思って寝室を狭めに設計してもらったらベッド以外なにも置けなくなり使い勝手が悪くなってしまった
- テレビとの距離感が悪くかなり見づらい
- 思いのほか駐車場が狭くぶつけそうになるためもっとゆとりを持ったスペースを確保すればよかった
- トイレを広くしたものの、子供がトイレットペーパーを取りにくい距離にしてしまった
- 廊下やキッチンなど、すれ違うスペースがないため不便。もっとゆとりのある幅にすればよかった
- 部屋を変形させて面白い空間をつくったら家具の配置が難しい作りになってしまった
●収納についての失敗例
- ウォークインクローゼットを作ったが、仕切りを作らなかったので無駄なスペースができてもったいない
- 掃除機や掃除用具を収納するスペースの確保を忘れていた
- 居室毎に収納したいものが違うのでもっと考えて収納スペースを作ればよかった
- 生活導線に合わせて収納スペースを作れば良かった
- キッチンの壁一面を収納スペースにしたものの、結局一番下と一番上が使いづらい作りになってしまった
- リビングや子供部屋に見える収納として棚を配置したが、掃除が面倒で結局雑然とした印象となってしまっているので見えない収納にすべきだった
- コの字型にウォークインクローゼットを作ってしまったためハンガーをかける部分がかぶってしまいデッドスペースができてしまった
- 床下収納がキッチンマットとかぶる場所に設置したため取り出すのが面倒
- お客様用の布団を収納しようと思っていたが幅が足りず収納できないため少し折り曲げて収納している。きちんと計れば良かった
●間取りについての失敗例
- 外からの視線を考えずに換気や日当りのことを考えて脱衣所に窓を設けた。曇りガラスだけど外に人影が見えるだけでストレスを感じる。人影が見えない高さに窓を設置すればよかった
- 湿気が溜まりやすいから、と洗面所の窓を大きく取りすぎてしまったため逆に結露の原因となったり、視線よけのためにカーテンをつけたらカビが発生しやすくなったので掃除が大変
- 隣の家と窓の位置を同じにしてしまったので気まずい
- ロフトを作ったものの窓もなく換気が悪いため夏は暑すぎて使えずに無駄なスペースになってしまっている
- リビングの上の部屋の南側にバルコニーをつけたらリビングが暗くなってしまった
- 玄関窓を設けなかったので日中なのに電気をつけないと暗い
- トイレの床をアイボリー系のクッションフロアにしたが日焼けや汚れが目立つので、もっと汚れや劣化が目立たないデザインや色のものにすればよかった
- 水回りの家事導線を考えていなかったので無駄に動かなければならなく使いづらい
- リビングを吹き抜けにしたら冷暖房の効きが悪くて後悔している
- 休日などにくつろげるように、と広めのウッドデッキを作ったが全く使わなくなってしまったのでもったいなかった
●音に関するトラブルについての失敗例
- 土地を見に行ったのが日曜日だったのだが、平日は結構な騒音があり後悔している
- リビングの上の部屋を子供部屋にしてしまったためうるさい。リビングの真上は主寝室にすべきだった
- キッチンの上に寝室を配置してしまい、夜中に食器乾燥機の振動や音が壁伝いに伝わってくるため気になって眠れない
- ダイニングの真上にトイレを設置したため、2階のトイレが使用されるたびに少し嫌な感じがする
その他、細かくあげていけばキリがありませんが、主な所は以上の「設備や内装」や「広さ」「収納」「間取り」「音」に関係しています。
実際にあった失敗例をお読みになり、「あ! 確かに!」と思われることもたくさんあったのではないでしょうか?
■注文住宅作りと頼み方に失敗しないために大切なのは優先順位
ハウスメーカーに依頼する場合、メーカーにもよりますがおおよそ規格品があるため1から全てプランニングする必要はありませんが、工務店や建築事務所の場合は1からプランニングしていく必要があります。
理想をあげていけばどこまでもキリがなく、結局アレもコレもとなってしまうと建ててしまってから「もっとこうすれば……」という事態に陥るケースがよくあります。
注文住宅で失敗しないためには、「家族それぞれの優先順位を確認すること」と「優先順位を意識しながら打ち合わせすること」と言えます。
■優先順位リストを作り理想通りのマイホームに
優先順位リスト作りをする前にまずは、家族それぞれが理想とするライフスタイルはどんなものなのか確認することからはじめたいものです。特に家に長くいる奥様にとって居心地のよい、家事がしやすい家づくりをすることはとても大切と言えます。
そこでまずは家族揃ってどんな家に住みたいか、リビング、寝室、子供部屋、バスルーム、トイレ、キッチン、廊下、ホビールーム、ウッドデッキやバルコニー、屋上、その他設備、内装や間取り、収納、日当りなど細部に渡り理想のライフスタイルについて話し合いメモを取っていきましょう。
それぞれの居室や場所毎にメモをまとめたら、その部分全て理想通りにできないとした場合、絶対譲れないところはどこかピックアップし優先順位をリスト化していきましょう。そしてその絶対譲れない部分や優先順位が高い部分を必ず注文住宅を依頼する際に伝えていくようにしましょう。
■失敗しない注文住宅の頼み方〜ここさえおさえておけば大丈夫! チェックリスト〜
以下、依頼先についてのチェックリストと建物やプランについてのチェックリストをご用意しましたので、ご活用ください。
●建物やプランについてのチェックリスト
優先順位が高いものは◎、必要と思えるものは○を付けましょう。
リビング | 位置 | 1階をリビングにしたい | ||
2階をリビングにしたい | ||||
南側にリビングを置きたい | ||||
天井の高さ | 一般的な高さで良い | |||
吹き抜けにしたい | ||||
広さ | ダイニングと一緒にしたい | |||
一階全てをリビングダイニングにしたい | ||||
リビングは独立させたい | ||||
繋がり | 玄関 | |||
浴室 | ||||
洗面所 | ||||
客間 | ||||
和室 | ||||
ホビールーム | ||||
他 | ||||
収納 | 見えない造りつけの収納にしたい | |||
飾り棚が欲しい | ||||
天井までの壁面収納を作りたい | ||||
他 | ||||
冷暖房 | 床暖房 | |||
二重サッシ | ||||
全館冷暖房換気システム | ||||
役割 | 家族団らん | |||
子供の勉強スペース | ||||
ホームシアター | ||||
仕事をするスペース | ||||
ホームパーティーができる | ||||
ダイニングと一緒にして食事したい | ||||
接客に使いたい | ||||
子供達が遊べるスペース | ||||
置きたい家具(リストアップしてください) | ||||
ダイニング | 食卓 | ダイニングテーブルで食事したい | ||
ローテーブルで食事したい | ||||
収納 | 食器棚 | |||
バーカウンター | ||||
サイドボード | ||||
造りつけの収納 | ||||
他 | ||||
ダイニング | リビングと一緒にしたい | |||
キッチンと分けて食事だけを楽しみたい | ||||
キッチン | カウンター | 対面キッチンカウンターにしたい | ||
ダイニングテーブルと一緒にしたい | ||||
バーカウンターを付けたい | ||||
希望の設備等 | アイランドキッチン | |||
オールステンレスキッチン | ||||
IHクッキングヒーター | ||||
生ゴミ処理機 | ||||
食器洗濯乾燥機 | ||||
ディスポーザー | ||||
備え付けコンベック | ||||
大理石キッチンカウンター | ||||
他 | ||||
キッチン収納 | 壁面収納 | |||
食品保管庫(パントリー)が欲しい | ||||
大容量の収納が欲しい | ||||
他 | ||||
重視すること | 明るいキッチン | |||
広さ | ||||
家族とコミュニケーションできること | ||||
ダイニングと | オープンにしたい | |||
完全に独立したキッチンが良い | ||||
浴室 | 場所 | 1階がいい | ||
2階がいい | ||||
キッチンと同じフロア | ||||
寝室と同じフロア | ||||
内装 | システムバス | |||
タイル貼り | ||||
他 | ||||
欲しい設備 | 洗濯乾燥機能 | |||
テレビ | ||||
ジャグジー | ||||
他 | ||||
洗面所 | タイプ | システム洗面化粧台 | ||
カウンターと洗面器 | ||||
2人が並んで使える2ボウル洗面台 | ||||
収納 | バスタオルなども収納したい | |||
カウンターとボウルだけでいい | ||||
洗剤や雑貨等収納したい | ||||
他 | ||||
トイレ | 手洗い | 手洗いカウンターを設けたい | ||
玄関 | 重視すること | 明るさ(窓が欲しい) | ||
バリアフリー | ||||
防犯やプライバシー | ||||
広い玄関がいい | ||||
収納 | 靴を沢山収納したい | |||
コートやレインコートなどをかけたい | ||||
傘を中にしまう収納が欲しい | ||||
天井までの壁面収納が欲しい | ||||
高さ | 吹き抜けにしたい | |||
他の居室と一緒でいい | ||||
主寝室 | 場所 | 1階がいい | ||
2階がいい | ||||
置きたいもの | チェスト | |||
ドレッサー | ||||
デスク等 | ||||
ベッド | ||||
テレビ | ||||
オーディオ関連 | ||||
ウォークインクローゼット | ||||
パソコン | ||||
オーディオ機器 | ||||
他 | ||||
子供部屋 | 場所 | 1階がいい | ||
2階がいい | ||||
3階がいい | ||||
置きたいもの | デスク&チェア | |||
ベッド | ||||
テレビ | ||||
本棚 | ||||
パソコン | ||||
クローゼット | ||||
チェスト等 | ||||
その他 | 快適性 | 日当りの良さ | ||
風通しの良さ | ||||
防音 | ||||
安全性 | 防犯設備 | |||
耐震・耐火 | ||||
地盤 | ||||
デザイン | 外観 | |||
内装 | ||||
庭や外構 | ||||
備考 | ||||
■失敗しない注文住宅依頼会社の見つけ方
ここまで失敗しない注文住宅の頼み方を失敗例などから見ていきましたが、もう一つとても大切なことがあります。それはどこに注文住宅を頼むかということ。
情報が沢山ある現代、どこを選べば良いか分からなくなってしまうことも多いかと思います。正に住宅会社を選ぶ上でとても大事なのは「あなたのにマッチした情報だけを集め、比較検討し選ぶこと」なのです。
そのためにも、気になっている会社や工務店、建築設計事務所から相見積もりをとるという方法をおすすめしたいと思います。
相見積もりを取る場合、会社や事務所に出向き一つ一つ説明をする手間がかかりますが、比較することでそれぞれの会社や事務所の強みや特徴、そして対応からその会社の姿勢や短所までが良くわかってきます。
一つの会社や事務所だけに依頼すると、比較ができないので問題点がわからなかったり相場感がなく相手の言われたままにプランを進めてしまい、家が建ってしまってから「もっとこうしておけばよかった!」と後悔することにもなりかねません。
ぜひ一生に一度となりそうなマイホーム作り。誠実にあなたに合った会社や事務所を見付け、担当者と何度も何度も打ち合わせを重ね、理想通りの家を建ててくださいね。
●依頼先などについてのチェックリスト
コストについて | 総額 | ||
毎月のローン返済額 | |||
担当者について | 契約を急がせないか | ||
説明は十分か | 構造面 | ||
資金計画 | |||
その他 | |||
信頼できそうか | |||
依頼会社について | 信頼性はあるか | ||
アフターサービスは充分か | |||
事業の健全性はどうか |
■まとめ
体験談から学ぶ失敗しない注文住宅の頼み方についてここまでお伝えさせていただきましたがいかがでしたでしょうか? 家づくりはバランスがとても大切です。
100%理想通りの家を建てようとすると予算が足りなくなるでしょうし、逆に安さにばかりこだわってしまうことで、住んでから「折角だからもっとこだわればよかった……」と後悔してしまうかもしれません。
この記事に書いてあることを参考にしつつ、実際に家を建てたお友達や親族に話を聞いて活きた話を聞くなどして、是非最高の家づくりを成功させてくださいね。