マイホームを夢見て、物件に申し込み。本契約済ませ、住宅ローンの申請をして、あとはローン審査に通過するだけ……とウキウキな状況だったのに、不動産会社から非情な通知が。
「住宅ローン審査に落ちました」
このページにたどり着いた方は、「なぜ? どうして!?」と心乱れていることでしょう。ここでは、住宅ローン審査に落ちた原因ととるべき対策についてお話しします。
■住宅ローン審査に落ちたらどうなる?
住宅ローンに落ちた方が知りたがるのは、「落ちたら一体どうなるの?」ということです。
住宅ローンを申し込むまでに、物件を探し、不動産屋を訪れ、打ち合わせを繰り返し、下見をし、ようやく納得して申し込んだはずです。その努力が、「住宅ローン審査に落ちました」の一言で白紙になってしまうのでしょうか?
●落ちても物件を買わなければいけないの?
通常住宅ローンの審査は、本契約締結後に行われます。その後に落ちた、ということは、すでに本契約は結ばれているのに物件を買わなければいけないということでしょうか。
住宅ローンを組まずに物件を買えるなら最初からやっていますよね。そんな理不尽な状況を避けるために、大抵の契約には「契約の白紙撤回に係る条項」が含まれています。この中に、住宅ローン審査に落ちた場合の一文があるはずです。
●手付金はどうなる?
不動産の売買契約を進めるにあたり、手付金を支払いますよね。手付金の相場は、物件の10%前後ですので、決して安くない金額です。契約が白紙撤回となった場合、手付金はどうなるのでしょうか。
○手付金が返ってくるケース
基本的に申込者本人の不可抗力で契約が白紙になったケースでは、手付金は帰ってきます。住宅ローン審査も本人にはどうしようもないことですので、手付金が返金されるケースがほとんどです。
【ご注意!】
「手付金が返ってくる」と聞くと満額返還を期待される方が多いようです。しかし、契約書に添付した印紙代は返ってきません。また、地盤調査や地質調査に関わった代金を手付金から引いた額を返還するケースもあります。
○手付金が返ってこないケース
審査の際に、申込者本人が虚偽の記載をしていたなど重要な落ち度があれば、手付金が返ってこないケースもあります。また、「契約の白紙撤回に係る条項」内に「手付金は返還しない」と記載されていれば返ってきません。
○どちらかわからない、と思ったら
着手承諾書を交わす際に、はっきりと不動産業者に聞くことも大切です。「住宅ローン審査に落ちたら、手付金はどうなりますか?」と。その時に返還される手付金から諸費用は精算されるのかなど疑問はクリアにしておきましょう。
■住宅ローン審査に落ちてからでもできる対策
住宅ローンに申し込んで落ちたとしても、それは銀行1社だけのこと。世の銀行はたくさんありますから、他の銀行にチャレンジすることもできます。
ただし、銀行で落ちた状態のままで他にアタックしては、いつまでも通らないでしょう。「何がいけなかったのか」「では受かるためにどうすればいいのか」という対策を立てて、住宅ローン審査に挑みましょう。
●まずは審査に落ちた理由を知ろう
住宅ローンの審査に落ちたら、まずは落ちた理由を知りましょう。不動産会社の担当者に理由を尋ねてもらうことができます。しかし、金融機関が保持する信用情報は個人情報の塊でもあります。
ハッキリ理由が告げられずにもどかしい思いをするかもしれません。ここでは住宅ローンの審査に落ちる主な理由を挙げていきますので、心当たりがないかチェックしてみましょう。
○年収に対して過剰なローンである
一般的に年収の5倍までが無理なく返せる住宅ローンであると言われています。申し込み金額に無理がなかったか、再度確認してみましょう。
○他にローンがある
自動車や家電など、住宅ローンの他にローンを組んではいないでしょうか? この場合、「ローン」という名目ではなくても、クレジットカードの回数払いやリボ払いも含まれるケースがあります。
○支払いを遅延したことがある
クレジットカードの支払いや携帯電話の料金の支払いをうっかり忘れたことはありませんか? 「そういえば残高不足で引き落とせないと連絡が来たっけ」なんてのんびり構えていてはいけません。
金融機関が保持する個人信用情報には直近の返済履歴が2年は記載されます。この情報があるとローンが通りにくくなるので、支払いは忘れないようにしましょう。
○年齢で落ちた
「完済時には85歳!現役で働いている予定です」という方にお金を貸すのは、銀行としてもリスクを伴います。
住宅ローンでは、申込時と完済時の年齢が重視されます。「年齢なんてどうしようもないじゃないか」というお怒りもごもっとも。その場合には、返済スケジュールが短くなるよう調整しましょう。
○勤続年数が少ない
住宅ローンの審査において勤続年数は3年以上が目安だと言われています。「転職したばかりで勤続1年」という状況であれば、もう1年待つのもいいでしょう。1年経てば昇給も見込まれ、現在よりスムーズに審査に通るかもしれません。
モデルケースとして、勤続1年のケースを出しましたが、キャリアアップの転職で以前の職場より給与がアップしている場合はローン申請の際に給与明細などを添えて事情を説明するといいでしょう。
○属性が良くない
勤務先の会社の経営が思わしくなかったり、自営の場合は業種や売上に不安があると審査に通らない場合があります。あるいは健康に不安があり、団信に加入できないケースなどです。
●今からでもできる住宅ローン対策
さて、住宅ローンの審査に落ちる主な原因についてお話ししてきました。心当たりはあったでしょうか? あった方も、まだ理由がわからない方も、今からでもできる対策をお教えします。
○他の銀行にローンの申し入れをする
ごく当然のことですが、他の銀行にローンの申し入れをすることもできます。住宅ローンの審査基準は銀行ごとに異なり、「AもBもCもダメだったけど、DはOKだった」ということもあるのです。
銀行の審査基準は公開されていませんが、不動産担当は「あの銀行なら通りそう」という経験に基づく情報を持っています。自分だけで探さずに、不動産担当の意見も聞いてみてください。
○金利の高い住宅ローンを選ぶ
長期にわたって支払いのある住宅ローンだからこそ、金利の低いものを選びたいという気持ちはよくわかります。しかし、金利の低い住宅ローンは、銀行の利益も低くなってしまいます。
常に貸し倒れのリスクを抱えているため、自然と審査も厳しくなるのです。金利の高い住宅ローンが必ずしも審査がゆるいわけではありませんが、低金利のものよりは通りやすい傾向もあります。
○フラット35に申し込む
フラット35は独立行政法人である住宅金融支援機構が提供しているローンサービスです。いわば国が提供しているローンになります。このフラット35、民間の銀行の審査に比べて「甘い」と言われています。
フラット35を申し込むには、住宅が適用条件を満たしている必要があります。が、逆にいえば適用条件を満たしていればよほどの理由がない限り落ちることはありません。
フラット35の適用条件
http://www.flat35.com/loan/flat35/tech.html
○融資率を90%以下にする
融資率というのは、物件の価格に対する借入額の割合を指します。「フルローンで落ちた」という方は、頭金を入れるなどして融資率を下げれば審査に通過する可能性があります。
例えば、3000万円の物件でローン申込みをする場合、300万円の頭金を用意して審査に臨めば、審査に通る可能性が高くなります。
○返済負担率を下げる
返済負担率とは、収入に対するローンの割合のことです。35%までは大丈夫と言われていますが、25%以下にすればより安全です。こちらも資金調達が必要になりますが、収入とあわせて検討してみましょう。
○自分の個人信用情報を取り寄せてみる
「収入は十分だし、健康状態も良好。ローンの負担率もそこまで大きくないし、カードの遅延もない。なのになぜ落ちるの?」と心当たりのない方、理由がさっぱりわからない方は、自分の個人信用情報を取り寄せてみましょう。
※取り寄せには1000円程度の費用がかかります。
- 全国銀行協会
http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/
全国の銀行が加入している機関です。
請求書を送付することで、銀行が保持している個人信用情報が確認できます。
- 貸金業法 指定信用情報機関 CIC
http://www.cic.co.jp/mydata/index.html
CICでは、クレジットカードなどの信用情報が見られます。こちらは、スマートフォンやパソコンでの開示もできるので、手軽に問い合わせることができます。
ご自身の信用情報を知るというのも大切なことです。これまで私たちが担当したケースの中に、やはり全く心当たりがないのに住宅ローン審査に落ちてしまう方がいました。
個人信用情報を取り寄せたところ、架空口座に名義を利用され、金融事故扱いになっていたことが発覚。ご自身でも全く知らぬところで犯罪に巻き込まれていたのです!
驚きと共に対策を練り、無事にマイホームを購入された方もいます。こうした発見があるかもしれませんので、心当たりがないのに住宅ローンに落ち続けるという方は、ご自身の個人信用情報を確認してみましょう。
○金融事故情報が載っていたら
個人信用情報を見てみたら、ローンの延滞や支払いの遅れといった金融事故情報が載っていたという場合、記載が消えるのを待つしかありません。一般的に金融事故情報が掲載されるのは5年と言われています。
この間は住宅ローンが通りにくくなってしまいますので、その間に頭金を貯めるなどして少しでも条件が良くなるようにしましょう。
■まとめ
住宅ローンに落ちたという現実は、なんだか自分にダメ出しをされたようで悲しいですよね。しかし、今からでもできることはたくさんあります。少しでも条件を良くして、無事にマイホームを手に入れましょう。
この記事が、住宅ローン対策の参考になれば幸いです。